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中編
07
 


 反対側で同じようにいかなくとも狙いを定めて何発かで敵を仕留めていると、「でさ、」と軽い声が聞こえた。


『さっきの話だけど、』
「え、あ、あれ本気だったんすか」
『酷いなあ、同じ都内だからどうかなーって。食事しながらゲームの話とかさ』
「あー……」


 若干動揺して照準がぶれたが、確実に敵を減らしていきながら考える。
 正直、会ってみたいという気持ちは以前からあった。
 でもネットで出会った人と実際に会うのは危ないとか、期待外れな思いをさせてしまったりとか、結果的にゲームすら一緒に出来なくなったりするんじゃないか、なんて思ってしまう。


『不安?』


 そんな考えをあっさり見抜いたリョウさんに、苦笑いが浮かぶ。


「まあ、少し。そういうの恐いって話をよく聞くんで」
『だよなー。 恐いって思う?』
「いや……リョウさんと会ってみたいなって思ったことはありますけど、なんか嫌な思いさせちゃって一緒にゲーム出来なくなるのは嫌だな、と」
『……大丈夫だよ』


 なんだ今の間は。

 優し気な声に一瞬ドキッとした変化を気付かれないように「そうですかね」と軽く笑った。


『あ、でもハイネくんの期待を外しちゃったら悪いかも、とは思ってる』
「いやいや、何でですか」
『んー…声が良いとか格好良いって凄い言ってくれるからさ、誉められて嬉しいけど会ってみたら何か違うとか外見のイメージ壊れたりしないかなって』


 大体考えてる不安や心配は同じだったようで、おかしくて笑ってしまった。


「そりゃ、そう思ってますけど、外見がどうとか考えたことはないですよ」
『そー? じゃあ一回会ってみる?』
「あー…うー……はい」


 言ってしまった。
 クスクスと笑う声にちょっと恥ずかしくなりながらも、仕留めた敵のアイテムを頂戴しにリョウさんと共に降りていく。


『ありがと。なんかすっげー嬉しい。 いつ空いてる?』
「……一応土曜日は毎週空けてます」
『いつも金曜日は長いもんな。土曜かー…俺も職場の研修があって忙しくなるから、年末近くなるかも』
「大丈夫です。あ、でも十一月の終わりから十二月の冬休み前はテストと文化祭があるんで難しいですね」


 近くの年間行事予定表を引っ張り出して見ながら言うと、リョウさんは『忙しいね』と笑う。


『研修が三ヶ月あって引き継ぎとか落ち着くまでを色々考えるとー…十月か十一月頭になるか。長いなー』
「ふはっ、心の準備には充分ですけど」
『そう?足りる? じゃあそれくらいにして、また後々予定立てていこっか』
「はい、わかりました」


 待ち遠しい、とかソワソワするとか色々と情けなかったり子供っぽく言うリョウさんの声を聞いていたら、最初にあった不安とかがいつの間にか消えていて、ただ純粋に楽しみになっていた。


 


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