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中編
02
 


 ゲームセンターで遊んでいたらいつの間にか午後で、互いに沢山の戦利品を抱えたままフードコートで休憩することにした。
 人目を引いているのは翔君の容姿と三つの大きい袋だと思う。クッションが気に入ったのか触ったままだ。

 小腹を満たすために買ったたこ焼きを二人で摘まみながら、興奮が収まってきてちょっと眠気が脳を蝕み始めた時、翔君も同じだったのか欠伸をしてる。



「翔君帰り大変そう」
「んー…持って帰るの怠い」
「デカイしな。家近いし置いててもいいよ」
「……」



 ぼんやりしているから聞いてるのか分からないけど、たぶん聞いてて考えてるんだろうな。
 たこ焼きをひとつ口に入れてから飲み込むまでを見ていたら、ふと翔君が目を合わせてきて首をかしげる。



「由貴ん家行こう」
「ぶふ…っ」



 唐突な攻撃に口をつけていた水を少し吹いてしまった。
 ダメか、と表情が言っているけどまったくダメではない。むしろこっちがそれで良いのか聞きたくなるくらいである。

 何もないけど、と濡れた口とテーブルを拭きながら聞くと大丈夫だと頷いたので俺の家に行くことが決定した。


 まさか遊ぶのも初なのにそこから俺ん家とか、ホントぶっ飛んでるってかマイペースというか可愛いというか。
 翔君の家はまったくの逆方向だし、俺の家は確かにここから十分ないくらいで着く近さだし、この荷物だしなと色々と意味が分からない言い訳染みた言葉が浮かんでは流れていく。


 まあ、いいか。
 結局、翔君の姿を見ていたら気にならなくなった。ホントちょろい。














「おじゃまします」
「どーぞー」



 築年数がわりと新しいアパートの最上階である三階角部屋が俺の城である。
 駅から少し離れていても、複雑な道の先にあるもんだから家賃はわりと安い。都心に比べたら半分くらいだ。
 1DKの風呂トイレ別でガスコンロとエアコンが備え付けの良物件、見つけた時は条件の良さに問題あるんじゃねぇかって心配になったけど、住み初めて二年目になれば、なんの問題もなくただ良い物件を見つけたと喜ぶだけである。


 DKが4.5畳あって、部屋が6畳もあるもんだから、ベッドにラブソファ、テレビ台と実家から持ってきた薄い32型テレビを置いても余裕があるし、なんと部屋には小さいけどクローゼットまでついている。
 広い、と翔君がぐるりと部屋を見渡すのを笑いながら、冷蔵庫からお茶を出してコップに移し、それを渡す。



「いい部屋。高そう」
「いや、6万ちょい」
「事故物件?」
「じゃないね、二年居るけど快適」
「いいな、家ユニットバスだしワンルームで同じくらいだ」
「ここが良すぎるんだよ」



 翔君の上着をハンガーに掛けて、お茶を飲みながら獲得した景品を見ていると、袋から猫クッションを出した翔君がソファに座ってキョロキョロしてる。
 可愛いな、とその姿に癒された。



「ソファふかふか」
「革じゃないやつにしたんだけど、それネットで二万しなかったんだよ」
「大丈夫なの」
「そいつも二年目だけど、結構丈夫。そういうの買っても滅多にハズれない」
「すげー」



 寝心地良さそう、と呟く翔君に、寝心地良いよと言ったらごろんと横になったので、そのまま寝るなよと笑う。


 


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あきゅろす。
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