[携帯モード] [URL送信]

中編
5
 


 息継ぎが間に合わないくらいに激しく荒らされ、忘れていた頃にまた、下に刺激を与えられる。
 キスをしながら扱かれ、どれだけ時間が経ったのかは分からないが、唾液が喉を伝っていくほど溢れた時には三回目の射精に至っていた。

 槙野の腹は俺の精液まみれだ。
 間違いなくズボンにまで付いているし、放置してたら染みになる。
 だが槙野は気にしていない。
 まるでもっと出せというかのように、何度も何度も射精を促してくる。
 足が震え、手に力が入らなくなってきて初めて背中が布団につけられた。やわらかな感覚に包まれ、息も絶え絶えに槙野を見ると、やはり奴は笑っていた。変態か。



「まだ、変わらないか?」



 最近よく目にする、優しそうな眼差しで槙野は言った。
 喋るのが億劫で頷くと、やっぱりか、とつぶやいた。槙野はこの薬の処理をしたことがあるのだろうか。



「扱いて出したくらいじゃ、いつまでも治まらねぇだろうな」
「なんで、知ってる」
「似たような状態になって俺の部屋来た奴がいたのを思い出した。自分で使って迫ってきたどっかのアホ」
「……」
「どうすれば治まるとか事細かに言ってきたけど、正直ドン引きしたから閉め出したんだけど、あのあとどうなったのかは知らねぇな」
「……あらた、」



 するりと頬を撫でる槙野の手。見つめる目は揺れていた。
 見たことがある色をしている。これは、不安だろうか。槙野もそう思う時があるのかと思った。
 頬を撫でる手に触れる。



「お前はいいのか」
「……」
「その方法で」



 そう言って眉を寄せる。槙野は優しい。
 だけど、不安の理由がお門違いだ。



「あんたが、委ねろって、言ったんだ。……っ、俺は、言ったぞ」



 たすけてくれ、と。
 お前に頼んだのは俺だ。

 槙野は一瞬目を見開くと、小さく喉で笑った。愚問だと気付いたらしい。
 そうだったな、と呟くと槙野は再び俺の唇に食らうようにキスをした。
 さっきとは違う、ただ快楽を与えようとする艶かしいものだった。


 首筋に、鎖骨に、胸に、腹に、舐めるように唇と舌を滑らせていく。
 その感覚が、くすぐったくも刺激的なもので、度々喉をひきつらせてしまう。

 全身を性感体にされた今の俺には、些細な感触ですら快感を引き摺り出される。元々の性感体も通常の数倍、感覚が鋭くなっているせいで、手だけですら既に三度も射精している。
 けれど萎えることがなく、痛いほど張り詰めて今にも破裂しそうだ。
 それを口に含まれたときの快感は、手の比ではない。今まで感じたことのない未知の快楽だった。快感を怖いと思うのはこういうことかと知った。


 そしてもうひとつ知ったことは、槙野がフェラチオが上手いという事実だった。
 いや、数倍敏感になっているのもあるのだろうが、たぶん、普通の状態でもかなり気持ちよくなるレベルだと思う。
 どこで得たのか、と気になったが、同じ男なら大抵の気持ちよい所くらい知り得ているものか、と勝手に簡潔させたけれど。


 ついでに知ったこと。
 自分の声が、予想外に高く出る。誰だと思うくらいに。



「、ん、〜〜ッ、ぁ、ふ…っ」
「は、」



 熱い息が当たるだけで、ぺニスが反応する。先走りが溢れ、それを舐め取られ、頭を含まれて舌先で擽られる。
 イク、と思うと同時に白濁が吐き出されて、槙野の手のひらが白くなる。右手はもう精液で真っ白になっているが、出す度に手で受け取るには何か理由があるのだろうか。
 ぼんやりと霞む頭で考えても、そこから先には進まない。快楽に流されてしまう。



 

[*←][→#]

25/51ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!