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傷口にキスを【噂の美形×失恋ノンケ】
 


 一年間付き合った恋人との別れから、そんな失恋した俺に手を差し出したのは同性でイケメンで周りから遊び人とか鬼畜とかサディストとか専らの噂であるその本人だった。


 ああ、神様仏様遥か上空のばあちゃん。これは俺に対する追い打ち?それとも嫌がらせ?
 人を足で踏みつけて見下して嘲るようなヤツが、暇潰しに俺をターゲットにした模様です。
























「なあ、侑真」
「…なんでしょうか」


 昼休みの教室。ほとんどが食堂で昼食をとるため、教室には二人しかいない。


 目の前にある自分が使う机に頬杖をつき、上目使いで見つめてくる色気のある二重瞼の眼。
 ライトブラウン髪は痛みを感じさせないというより、地毛らしいけどよく似合っている。
 そこら中から年がら年中誰かに告白されているとか、裏では人を苛めたり不幸を笑ってるとか、二股に留まらず何重も股にかけてるとか色んな噂を引っ付けている、そんな話題の尽きないイケメンが、目の前にいる。

 つい昨日、一年間交際していた彼女の浮気が発覚してというかこっちが浮気相手側だったとかいう俺の片想いも敢え無く失恋に終わったわけだけど。
 つか俺の方が彼女にとって浮気相手とかなんなの。
 俺の告白勇気返せよ。
 結局都合よく暇潰しにされ、真実が知られたら素知らぬ顔でポイですか。
 あ、なんか思い出したらイライラしてきた。


「侑真聞いてる?」
「だから、なんですか」
「浮気された気分教えて」
「傷口に笑顔で塩を刷り込まないでいただきたい」
「そんな傷、舐めれば治るよ」
「意味分からないんですけど。精神的な傷口は舐めても治りません」
「やったことないくせにー」


 つん、と頬を人差し指でさされた。
 いやアンタもやったことないだろうが、と突っ込もうと口を開いたら。


「じゃあ、試してみよっか」
「───は、」


 唇を舐めるその動きに、一瞬で視線を持っていかれた。

 なにいってんだこのド変態。


 


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あきゅろす。
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