04
「あ…あっ、や、」
「…っは、」
「くるし…っ」
プルプルと震える足を掴んで押し入って、荒い息と汗と感触を確かめるように触れて、撫でて、繰り返す。
間近に見える崩れた表情と、流れている涙は生理的なものだろうか。
どうであろうと、ぞくぞくと這い上がる気持ちにストップをかけるつもりは更々ない。
「あぅ…っは、ん」
「ほら、がんばれ」
「むり…、んっ」
見上げた顔は苦しそうで、でも迷わず快感を拾い上げて確かめていて、額に貼りつく髪をどかしてやる。
初めてで自分から動くのは無理だとは分かっている。ただそこにまだ理性があればの話だ。
本能をさらけ出したら、目先にある快感を拾うために何だって出来る。
その行為に、窒息することも厭うことはないと、こいつと自分自身の本能を感じて初めて知った。
情事後の空気を追い出しながら、着替えるそいつを見る。
「また渇いてきたら来いよ。週末の同じ時間、居るから」
「………」
じっと見てくるそいつの髪を梳きながら言った。まあ、気になる所もあるだろう。
「心配しなくても二時間以外じゃ話しかけもしない。今までと変わらない」
「…わかった」
着替えを済ませたそいつは静かに部屋を出ていった。
それから毎週会うようになって、会話もせずに二時間ぶっ通しのぶつけあいをしている。
オレも、あいつも、最初の時以外「会話」すらしてない。
だけどそれでいいと思ってる。
きっとこれは、オレの興味が無くなったり誰かに知られなければ卒業まで続くし、会話もないだろう。
お互いにコレを利用していて、埋めているんだ、欲望を。好きとか嫌いとかそんなものはない。この気持ちが愛情になることもない。
そうなった時点で、コレは終わる。
いや終わらせる。
だからこの時間だけは、「自分」を隠して本能をただぶつけるんだ。
あいつが居なくなった部屋を寂しいと思ってしまえば、コレは終わるんだ。
END
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