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気持ち良い事は好きだけど生身の人間では体力面や面倒な縺れも発生しやすい。気持ちは変わってしまうし、普通のセックスも玩具も物足りなくなった。どちらにせよ人間では限界がある。
そして出会ったあの日から、俺はスイが与えてくれる甘美な時間を知ってしまった。
だから余計に俺はスイを手離せないし、スイも俺を大層好んでくれているのか出て行く素振りすら見せないまま半年が過ぎたわけだ。
「───今日はゆっくり出来るよ、スイ」
俺の言葉に応えるように膜の中から複数の突起が出てきて一本が唇を撫でた。
期待で既に勃起した陰茎がタオルを持ち上げて、スイが弄るようになってから随分と開発された乳首も撫でられただけで反応する。
複数あるうちの一本を手で包みキスをすると、両足に巻き付いた触手が左右に広げるように動く。脇腹や首筋、胸、耳を舐めるスイの触手はこの時だけは粘液を纏っている。
「んぅ、っ、はぁ…っ、きもちい、」
最初の緩やかな愛撫も好きで、後半になるにつれ激しく犯されるような愛撫も堪らなく好きだ。
これはスイにしか出来ないし、もうスイじゃないとセックスなんて出来ない。
「あ、あ…〜〜っ、すき、スイ、んぐっ、んんぅ…!」
口の中に入り込んだスイに吸い付くと、出入りする度に上顎が撫でられて唾液が端から垂れていく。
睾丸を揉み、竿に巻き付き先端を優しく擦られる快感に喉が引き攣った。
変形した一本が陰茎を銜え、滑りと生暖かいその中の締め上げが気持ちよくてスイを銜えていられなくなると、舌先を舐めてくる。
濡れた触手がアナルに触れ、周りをくるくると撫でながら粘液を塗り込み、指ほどの太さの触手が中に滑り込んで腰が跳ねた。
マッサージしながら穴を広げていく触手は一本増え、前立腺を引っ掻いた。
「あ…っ!、あ、ぅん、く…、はぁっ、そこ、〜〜っ!」
卑猥な音がそこら中から聞こえてくる。吐息混じりの声が止まらず、でも理性なんて必要ないからもっととねだる。
そしてそれにスイは応えてくれる。
二本の触手が穴を広げる。縁をぐるりと回り、痺れて腰がビクビクと震えた。
その間も乳首を吸われて引っ掻かれて、生理的に流れた涙を舐めるように触手が頬を撫でた。
スイに対する愛しさが日に日に増していく。与えてくれる愛撫は優しくも激しくて、濃厚で、刷り込むように粘着でたまらない。
愛着が増すにつれスイが俺をどう思っているのか知れたら良いのにと最近よく考えるけど、仕草だけなのにスイから感じるものはいつもそんな不安を消し去るものだった。
触手に恋なんておかしいだろう。
それでも、愛しいと思ってしまったんだから仕方ないじゃないか。
スイがいればそれでいい。本気でそう思うほど、俺はこの触手に溺れている。
激しさを増したアナルへの刺激で触手を握る手に力が入る。すぐに気付いて力を抜くけど、スイは俺の手の中から退かない。
「スイ…っ、手ぇ、固定して、っ」
握ったからといって潰れてどうこうならない事は分かっているが、やっぱり気が引けてしまうからいつも手首を掴ませて固定させる。
けれどスイはそれを言うと必ず一度は躊躇う。再び言えばやってくれるけど、縛り上げるとかはしたくないと思ってくれてるのかな、と単純な頭は嬉しくなる。
足首や太ももは掴んで広げて閉じないようにするくせにな。
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