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02
 


「、───…は、…っ」
「ほら、目をそらさないで。ちゃんと見ててよ」



 がつん、と双眼鏡が縁に当たる。落とさないようにするのに必死で、けれど飲み込まれそうな刺激が手から力を奪っていく。


 楽しそうな声。
 生温い感触。ぬるり、と首筋を舐めるその舌は、俺にとって最早凶器でしかない。


 今や前に回る手は制服のズボンの中に入り込み、確かな目的を持って俺の大事な大事な息子を愛でる。
 本当に、愛でていると思ってしまうほど優しくて。



「ぁ…っ、く、ふぅ…ッ!」
「ねぇ、今、観察対象は何してるの?この口で、説明してよ」



 ふ…っざけんなっ!出来るかボケ!

 つんつん、と唇を指で突かれるがその口から漏れるのは聞きたくもないのに聞き慣れてきてしまった、自分の吐息混じりの言葉にならない声で。


 分かってるくせにわざと促す後ろの変態を今すぐ滅したい。



「っな、にも…、してねー…よ…っ」
「うっそーなんかしてるでしょー」
「はなし、してるだけ…!」
「ちぇー、つまらん」



 ま、いっか、と後ろから聞こえて。
 つか始めから興味ねぇくせに一々聞いてくんじゃねえよ!



「もー、冬真がやらしくてスイッチ入っちゃった」



 知 ら ね え よ…!


 ふざけんな変態。ふざけんなマジでスイッチ入っちゃったじゃねーよ入れんなよ永遠に切っとけよ!


 そんな愚痴も虚しく言葉になることはなく、優しかった手付きは突然ソレを締め付けてきた。

 思わぬ刺激に喉が震え、体に力が入った。



「とーま、ハイ、」
「!、んぐ…っ」



 ぐっと口の中に指が押し込められ、舌を弄び始めた。
 二本の指は、俺の舌を撫でたり挟んだり引っ掻いたり引っ張ったり好き勝手遊び回る。

 飲み込めない唾液が、やつの指と口の端を伝っていくのに気付く。



「冬真ほら、吸って、舐めて、絡めて」
「ん、んぅ…っ、ふ、」



 暴れまわる指をどう吸い舐め絡めろと言うのかこの変態は。


 そんな思いとは裏腹に、未だに下半身にいる手が反り勃つソレを撫で上げたせいで、腰から背中から電流が走る。



 やばい。やばい。
 なんなんだこいつ。
 なんなんだこれは。
 勘弁してほしいのに気持ちいい。




「先っぽぬるぬるー」
「ん、ぁ…っ!、や、め…っ」



 滲む先走りの滑りを指で撫でられ、ビリビリと腰にくる。刺激が強い。
 がつがつと双眼鏡が縁に当たる音が聞こえるのに、もうそれ越しに観察をする余裕はない。

 そう、いつもの如く、ヤツに奪われるのだ。
 体も、感覚も、思考も、目線も、全部、全部奪われる。



「ふ、…あっ、あっ、や…っ」
「あぁほら、もう全体がぬるぬるだよ」



 口から抜けた指を、無意識に目で追って、唾液で光るそれにまた、ずくずくと腰を刺激する。
 いつの間にかずり下がったズボンに、太ももに引っ掛かる下着。外気に晒された息子はしかし、ぬるりとヤツの手が滑っている。

 先っぽも竿も根本も睾丸ですら撫でられ揉まれ引っ掛かれて、もうそういう行為についてしか思考が回らない。


 何をしていたのか、何をしているのか、何のためにしているのか、考えてくれない。



「張ってきたね、イきそう?」
「んっ、ん、……ふ、はぁ…っ」



 込み上げる射精感と、一定の強さで刺激する手。
 もどかしい。かなりもどかしい。
 イきそう。確かにイきそうだ。でも足りない。込み上げては治まるそれが、余計に物足りなさを目立たせて。



「イきたい?ねえ、とーま」



 耳元で囁かれる声と息ですら、それを快感として拾い上げる本能が憎たらしい。
 先走りだけがどんどん溢れて、自分のモノをひたすら濡らしていく。

 卑猥な水音が耳に殴り込んできて、それとヤツの声と息づかいだけが聞こえる。



「とーま、かわいい」
「はぁ…っ、ん、…う、るせ…っ」



 なんでこいつはこんなに、容易く確実な快感を与えてくるんだ。


 

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あきゅろす。
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