07
息がつまる。苦しい。どこが、肺が鳩尾が脳みそが?
自分が黒川を受け入れることでこの傷が消えるなら、ずいぶん軽い人間だなと思った。
失恋なんだかんだ言いながらも目先の快楽には馬鹿正直になって、笑いながら土足で滑り込んでくる同性の黒川が寄越してくる傷薬はとてつもなく甘くて卑猥だ。
硬い床じゃ膝が痛いと言い出した黒川によって、行為をさらに卑猥にさせるようなふかふかな柔らかい場所へ移動させられて。
そこに座る黒川の足を広げたその間に膝立ちする俺に、容赦なく降りかかる甘ったるい舐め方とかキスとか甘噛みが堪らなく腰に電気を流す。
手のやり場がなく、黒川の肩にやるしかない。無意識に入る力が、いつの間にかシャツをしわくちゃにしてた。
「なん、そこばっか舐めてんだ…よ、はぁ…っ」
「舐めてって主張されてる気がして」
「っいやしてねぇよ!」
「コロコロしてるし」
「してねぇっつの!」
「えー、自分で見てみなよ」
「……コロコロって…」
いや立ってんのはわかってんだよ。女じゃねぇんだからそんな胸ばっか舐めて何出させるつもりだお前は。
呆れ目で見てやると、まるで気にしてない素振りでにこり笑われた。
そして黒川が胸元から腹へと舌を伸ばした。
「うあッ、なにして…!」
「だって胸ばっかじゃイヤだって」
「だからって下に行くな!」
「主張されると…」
「言うな!」
お前の言いたいことは自分がよく分かっています!自分の体だからな!
「半端な抵抗すんの諦めなよ」
「……っ」
するりと腰を撫でられながら低く言われ、何をされてるわけでもないのにイヤに疼きやがる。腹立つな。
しかしそんな腹立ちも、痴漢のような手つきでケツを撫で回す黒川によって潰され、ベルトは外され遂にはパンいちにされて。
なんだこの素晴らしき羞恥は。
もうやだ。
「大丈夫大丈夫、俺も脱ぐから」
「……ムカつく」
へらへらしやがって。
普通に脱いでるつもりなんだろうがムカつくくらいエロいんだよバカ野郎。
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