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06
 

「は、…あぁ?なにして…っ」
「すべすべしてる…」
「オイ!」


 胸板を擦られて濡れた首に息がかかるとぞわりと粟立つ。
 黒川は身動きすると、なにを言うでもなくシャツのボタンをスムーズにはずし始めやがったので勢いよく手を掴んだ。


「なに?」
「いやなに?じゃねーよ!それこっちのセリフ!外す意味分からんです!」
「まあまあ、大人しくしてなよ」
「む、り!無理だから!なにそんな普通の顔ではずしてんの、言いながらなんで今もはずしてんの!?」
「よーし、ぜんかーい」
「聞けぇえぇぇい!」


 ぺちん!となんやら可愛い音だが地味に痛いんだよ、この手の叩きかた。

 だがしかし黒川にはまるで効いてない。なぜかにこやか。ムカつく。
 

「うわあ、やばいねシャツの前開きって」
「お前なあ……」
「うん、エロいな」
「ど、こ、が、だ!」


 へらへらしやがってくそっ!
 お前の舌舐めずりのがエロいわ!


「ああ、もう、なんなのお前は…なにがしたいんだ!」
「だーかーらー、襲ってるのさ」
「主旨が変わってないか!?」
「変わってないよ」


 やだなーとかなに笑ってやがんだよこの変態が!


「鼓動が早いね、緊張?」
「しるか!」


 恥ずかしいんだバカタレい!
 擦んな擦んな!


「顔赤いね」
「…っ」


 胸を擦る手が、時々小さな突起を刺激するせいで突っ込みすら出来ないくらい心臓がドキドキうるさい。
 俺胸でこんな感じるっけ、なんてちょっとまた恥ずかしいこと考えた。


「、ヤバイなー」
「やめろっつの…はぁ…っ」
「ゆーま、ちゅーして」


 なにを言ってんだ、と頭では考えてるのに、体が前のめりになっていく。
 見上げてくる顔が近付いてきて、息が交わって、わかんなくなる。自分がなにをしてんのか、黒川がなにをしてんのか、頭が真っ白になってきた。


 


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