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05
 


 そんなロマンチストだったのか黒川。たぶん俺の思考がぶち壊すぞそんなもん。


「…侑真」
「なんすか」
「ちゅーしたい」


 …なに?


「それ、今し方の語りとどう繋がるんだ…?」
「拒絶はしないんだね」


 言葉に詰まった。
 疑問の方が気になってしまったせいか、黒川が求めた事を忘れかけていて。


「いやいやなんでよ?」
「したいから」
「……え、なに。なんなん。舐めたり噛んだりキスしたがったり」


 帰ろうとしていたことなんてとうに忘れて、さっき自分だってキスしそうになってたくせに、それを棚にあげて湧き出てくる疑問をぶつけていく。

 黒川はにこりと笑った。
 恐ろしいと思うほど、綺麗に見えた。


「傷はまだ痛い?」
「え?」
「精神的なだっけ?失恋した傷口」
「……」


 正直微妙だった。
 思い返せば痛いっちゃ痛いけど、痛くないとするならばもうぶっちゃけどうでもいいと思えるような。


「……痛いような、痛くないような」
「なんだそりゃ」


 息を吐き出すような笑いで崩れた顔は、なんとなく子供っぽくて。


「やっぱり傷は舐めて治るもんだね」
「…は?」


 うんうん頷いてますけど、なに勝手に確かめてんすか。

 黒川はまた膝立ちをすると、さっきと同じように迫ってきて。
 思わずまた俺も両手を後ろに突いて少し下がった。


「侑真の首って甘いんだよね」
「あま…っ、ええ?」


 そしてにやりと笑うと、黒川が舌を伸ばしてべろりと再び首を舐めてきた。
 ちゅ、と音を立ててキスをされ、吸われたり舐めたり噛んだりなんだりされる。

 なにがしたいのか分からない。

 俺の傷が、これで治ると言うのか。
 同性にそんなことされて拒絶しない俺も俺だけど。


 すこし熱っぽい息が口から溢れた時、黒川の手が第2までボタンが外れたシャツの隙間から滑り込んできた。


 

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