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「ここの生徒の知り合いの人ですかぁ?」
「私たちとー、一緒に回りません?」
「お連れの方とかー」
「お兄さんちょーカッコイイですよねぇ」



 きゃあきゃあ言って、好き勝手高い声出しながら千鳥の周りに群がる所謂ギャルたち。
 派手に盛られた髪型。
 何しに来たんですか、とか思うよね。


 千鳥はひとつとして返さずに歩いてこっちに来る。

 千鳥は大人だ。時々子供っぽいけど。
 その両方は、ただ唯一俺にだけ向けられる行動にもなる。
 だから俺が不愉快な気持ちにならないようにしてくれる。


 俺達の目の前を素通りした千鳥。
 千世にも気付かないなんて、四人のギャルは千鳥にそれだけ夢中になってるってことですね。
 うちの犬はカッコイイし可愛いんだぞ!俺にだけなんですけど!

 なんて。
 俺はたぶん、今嫉妬してんだろうな。
 俺にだけべったべたに愛想振り撒く二人が、知らない人に囲まれるのが嫌だなんて。独占欲通り越してウザいな。



「あのぅ、」
「邪魔なんだよ」
「…え?」



 絶対地声じゃないだろう、懲りずに声をかけてたギャルが静まった。
 たった一言、千鳥の返した言葉は拒絶。

 校門前で、俺と千世の近くで立ち止まってる千鳥。



「うるさい迷惑。失せろ」
「ちょ、そんな言い方なくない?」
「そうそう、」
「お前ら何しに来てんの?ナンパ目的なら駅前に行けよ。くだらねえ」



 そう言った時の千鳥の雰囲気は、もはやチームの現総長そのもの。
 威圧感ってのが凄いよ。容赦ないね。
 固まる四人をそのままに、校舎に入っていく。

 ギャルの話を聞く気もないなんて、自分勝手過ぎて不機嫌な顔が素敵過ぎるよ。
 俺の思った事そのまま言ってくれちゃった千鳥に、俺はもう口元がゆるゆる。



「千世、校舎入ろ」
「わん」



 校門前は占領されちゃってるから、横にある小さい出入口から入っていく。
 さっきまできゃあきゃあ言ってた四人の声は、ぎゃあぎゃあって感じになってた。


 不機嫌オーラが静まらない千鳥の横に小走りで寄って、ふらふらしてた左手を握れば千鳥と目が合う。
 若干見上げる形になるけど。
 千世は俺の右手を握ってる。
 なにこのサンドイッチ。
 挟むパンが高級過ぎる。


 


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あきゅろす。
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