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 ピピッ、ピピッ、ピピッ、と微かに聞こえた電子音で脳が覚めてく。
 ゆっくり目を開けば、日差しの明るさが部屋にそそがれている。


 あぁ、朝か、なんて思いながら携帯から出てる音を切ろうと開けば。



「……7時」



 なんで。…あ、出掛けるんだった。
 いっけね忘れてた。



「ッ、わふ」



 寝転がったまま伸びて、ふう、と一息。
 8時には千鳥が迎えに来てくれるんだった。

 洗面所に行って、洗顔して歯を磨いて。
 キッチンに行って電気ポットをスイッチオンさせて。
 やっぱ冷たいもんは飲めないから、暑くても熱いお茶。冷ましてぬるいお茶とか。常温。


 覚醒すんのは早い方だから起きてすぐ動ける。だからぎりぎりに起きてもなんとかなる。
 損はない。いい感じ。最近寝付きマシになってきたし。

 ご飯は、まあ、後でいいや。


 時計を見れば7時半過ぎ。早くね?
 朝は早いね、寝起きだからかな。それともゆっくりだからか。
 余裕はあるぜ。


 お茶を飲みつつ自室へ。
 何着ようかなー。動きやすいのがいいな。

 クローゼットを物色してたら、携帯のバイブ音が聞こえた。



「ぅはい」
『おはよう睦月』
「おはよー千鳥」



 朝からいい声ですね。
 そんな嬉しいか。会わなくなってから出掛けなかったもんね。



『もうすぐ着くから、下にいる』
『千鳥!かわって!』
「おーけー」



 電話してきたってことは信号待ちか。
 たぶん助手席にいるんだろう千世の声が聞こえて、口元が緩む。
 もうすぐ会えるのに。
 待ちきれないってか。可愛い犬だ。



「着替えるから、また後でね」
『わかった』



 携帯をテーブルに置いて、着替え再開。
 ラフな恰好がいいな。着る服しかないから迷うのもあれだけど気分があるからね。


 とりあえず、ゆるめのダメージジーンズに重ね着風のタンクトップに薄手のフード付きパーカー。
 パーカーはフード付いてるのしかない。
 好きだからさ。フード。
 まだまだ日中は暑いねー。


 携帯と、財布はジーパンの後ろポケットに、鍵の付いたチェーンをベルト通すとこに引っ掛けて前ポケットにイン。
 ぶっちゃけ財布あんま必要ないんだけど。
 出すとこ惜しまないオニイサンが、有無を言わさず出してくれるから。


 


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