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09
 



 午後11時。
 電気点けたまま、ベッドで抱きまくらと戯れて痛い子みたいな事してたら玄関の開閉音が聞こえた。


 ばっと起き上がって抱きまくら抱えたまま小走りで玄関に行けば、びっくりした顔の蓮さんと目が合いました。



「おかえりなさい!お疲れ様です」
「……ただいま」



 ダーリン!とか言えばよかったな。
 失敗した。今度やろ。なんて思いながら、帰ってきた蓮さんと一緒にリビングへ。



「ソレ抱えたまま出迎えか」
「え?ダメでした?」



 やっぱキモイ?知ってる。



「襲うぞお前」
「えー…」



 うそん。そうきたか。
 甘く見てましたスミマセン。
 怠そうに、ぼすん、とソファーに深く座りタバコに火をつけるのを見てた。



「明日行くンだろ」
「いってきます!」



 真面目な顔で言ってみた。
 部屋着に抱きまくらだけど。説得力みたいなのがないよね。



「遅くなり過ぎンなよ」
「らじゃー」



 言いつつキッチンに向かう。
 とりあえず、お疲れ様だから。
 電気ポットのスイッチをオンして、棚にあるコーヒーメーカーを引っ張り出す。
 蓮さんは部屋に行って着替えてるっぽい。灰皿に吸いかけのタバコがあるから。
 煎れたてのコーヒーをカップに淹れて。
 コーヒーの匂いは好き。
 苦いのはあんまり好きじゃないけど、微糖がいいよね。


 カップを持ってキッチンから出たら蓮さんも自分の部屋から出てきて、とりあえずカップを渡す。



「サンキュ」
「いーえー」



 お礼は忘れない。そこんとこ常識人。
 他はまあ、置いといて。
 ソファーでくつろぎつつコーヒーを飲んでる蓮さんを見る。
 優雅だね、美男は絵になる。目の保養ってやつか。


 無理矢理だけど文化祭デートの許可は得た。
 デートは抜いてるけども。デートなんて付けたら大変だよ、まじで。
 面白いけど。
 男とデートですが何か。
 犬もいますけど何か。
 どっちも美形ってのが笑えるよ。



「睦月、」
「うい?」



 ぼけっとしてた。
 ちょいちょいと手招きする、さりげなく可愛い仕種をする蓮さんの横に行ったら。
 後頭部に手を添えられてちゅーされた。

 なんとなく分かったけど、まじで口にするとは。一瞬真っ白になったんですけど。

 にやりと笑う蓮さんに見とれた。



「おやすみ」
「…おやすみなさい」



 びっくりびっくり。


 


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