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07
 



 ───ぷるるる、と呼び出し音が聞こえる。
 ベッドに寄り掛かりながら、ちなみに抱きまくらは腕の中。耳に携帯を押し当てて、相手が出るのを待つ。

 この時間は出るはず。
 なんて思いながら三秒くらい聞いて、ぷちっと音がする。



『……どうした』
「前日のご連絡でーす」
『そうか』



 ふむ。
 この素っ気ない感じからして、周りに誰かいるな。今は料理人だから、そんな密集するような場所じゃないと思ったけど。



「明日、何時くらい?」
『8時だ』



 まじで近くに誰かいるんだ。
 男前な千鳥が電話で、迎えに行くよ、なんて甘い声出しちゃったりしたら女性なら耳をダンボにして聞き耳立てるよねー。
 相手は俺なんだけど。



「おーけー。待ってるダーリン!」
『……あぁ』



 なんだなんだ、今の間は。
 まさかダーリン発言にドキッとした?
 ……いやないない。多分ない。
 千鳥に限ってそんなことは……。
 明日聞いてみよう。忘れなければ。



「そいじゃ、仕事がんばってね!」
『じゃあ』



 素っ気ない感じなのに愛情を感じるのはなぜ。
 いつもなら、もっと甘ったるいくらい甘いのに……。なんつって。



 通話を終わらせてテーブルに携帯を置いた途端に携帯が震えた。
 開けばメール。しかも千鳥。早くね?



「……」



 内容は絵文字顔文字なしの一行だった。


 ───いい子で待ってろよハニー。


 ちょ、俺がドキッとしたんですけど。
 やっべぇ、なにこの男前。早い上に内容が甘いんだけど。


 金髪飛鳥ちゃんから、卒業したはずの高校の文化祭チケットを貰って数日。
 明日は仕事お休みで文化祭です。
 文化祭デートです。
 飛鳥ちゃん、在校生から貰ったのかなチケット。まあ、いっか。


 うん、なんだか癒されたい。
 千世に癒されたいぃぃ。
 ペットは癒しなんだよ、本来その為にいるようなもんだ。人間だけど。

 人間だから心地好いと思えるんだろうか。
 いや、人間じゃなくても癒されるけど。
 でも千世は人間だ。そして俺の犬だ。経緯とかそういうのは知ってても気にならない。いつか無くした記憶が戻る時が来るかもしれない、なんて可能性があっても。


 いいように洗脳してるだけのような気もしたよ、そりゃあね。
 今更だけど。


 


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