05
とりあえず怪訝な顔の千春先輩に、幼なじみみたいなオニイサン千鳥の説明をして、超不機嫌な蓮さんはスルー。
さすがの俺もイラッとしたんだから!
温厚な俺が!ふんっ!
行っちゃうもんね!
「はい決定ー」
「……」
「僕は構わないけどね」
「っ千春先輩大好き!」
よし!早速後で千鳥にメールしよ。
楽しみでしょ、そりゃあ。
文化祭じゃなくて、千鳥と千世と出掛ける事が楽しみかな。
「幼なじみにしちゃ、仲良過ぎねェか?」
「そうですかねー」
珍しく早めに帰って来た蓮さんが、部屋のドアの所に寄り掛かって話し掛けて来る。
バイトはいつも通り上がって、るんるんで帰宅して千鳥にメールしといた。
ベッドの上で抱きまくらを抱えながらゴロゴロしてたら、蓮さんが帰宅した音がして直行してきたらしく今にいたります。
着替えくらいしようぜー。
「小さい頃から、親より可愛がってもらってますから。家族よりも家族っぽいんですよねー」
「……」
メール返って来ないなー。
仕事中かな。電話来そうだ。
んん、背後が妙な空気。
後ろ向いてるから蓮さんの表情は分からないけど、多分まだ不機嫌。
俺に恋愛感情を抱いてるっぽい蓮さんは、あの告白っぽい発言からスキンシップのレベルが日に日に上がってる。
愛情を感じるから、嫌いじゃない。
ただ物好きだなって思う。
こんな最低な俺に恋愛感情を抱いても、大概自己嫌悪で終わる。
変わるのはいつも相手。
あの親が生きてた時から、あの家にまだ住んでた時から。小学生から中学生から、ずっと。
細かい事は忘れちゃったけど。
どうでもいい事はすぐ忘れちゃうからなあ。
俺は母親に似てるらしいから、母親もこんな性格だったのかな。わっかんね。
母親だけは俺を可愛がっててくれたから、愛情が分かる。
父親は長男を可愛がってたから、母親が死んでも長男ばかりだった。
あぁ、嫌な事思い出したな。
「…聞いてンのか?」
「…うへ?」
飛んでた。
変な声出た。
ちらと見た蓮さんの表情は、呆れた顔でした。
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