20
宣言通りに着替えから歯磨きまで済ませた後、広々としたリビングダイニングのふかふかソファーでゆったりまったりいちゃいちゃしてた。
小腹が空いたら二人して冷蔵庫覗き込んだりして、適当に時間を過ごして。
暗くなりはじめて、壁にかかってるお洒落な時計が夕方6時を指した辺りで玄関の開閉音が聞こえた。
その時なにしてたって?
犬に襲われそうになってたよ。
「……なにしてんだお前」
「おかえりー」
「……」
ソファーの上、仰向け状態で千世に跨がられてるところに仕事から帰ってきた千鳥とご対面。
あんれ、千世が拗ねてる。
めちゃくちゃ睨んでるよ。
保護者になってもらってる千鳥を凄い睨んでるよ。
邪魔しやがって、みたいな。
「千世、」
「……わん」
起き上がりたいなって目で訴えてみたら届いたらしく、渋々どいてくれました。当然とばかりに起こしてくれた。
どこまでも俺の犬だから、どかないなんて反抗はしません。
まあ、本当に箍が外れたらどうなるかはわからないけどね。犬だから。
「おつかれ、千鳥。時間見計らって出迎えようと思ってたのに」
「なら体で払え」
え、ちょ、なに言ってんの?
出迎え無かったのを許してほしけりゃ体で払えってか。
喰われろってかオニイチャン。
「冗談だ」
「………」
冗談に聞こえないんですけど。
変なこと言ったら確実に実行に移されるから。
ちょっと安心して、軽い足取りで近付いたら顔を両手で挟まれた。
変な声出た。思わず目を瞑ったら、唇に違和感。
「む、……ん」
ぬるりと舌が入り込んで来て、吸われて啄むようにキスされて息が上がる。
俺、キスしてる時に息すんの苦手なんだけど。知ってて後頭部押さえてるでしょ。
ちゅ、とリップ音が聞こえて千鳥の顔がドアップ。
ここ最近、美形のドアップ見すぎてる気がする。
「ふ、ぁ……っはぁ、」
「これでチャラにしてやるよ」
すんごい笑顔で言われちゃったよ。ねえ、俺いま絶対顔真っ赤だよ。
そして背後からの殺気が凄いよ。
「……ハッ」
「ううぅー…」
唸る犬と鼻で笑う保護者。
なんだこの光景。
どっちも男前なせいで違和感がないんだけど。美形ってなんでも絵になるよね、飽きないわ、本当に。
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