19
「……むん、」
明るい陽射しが瞼を通って伝わる。
たまに変な声が出たりするけど、まあ気にしない。
背中に温もりがあって横を向いてるのに気づく。
やばいよ、ぐっすりだよ。
蓮さんの家に来てからしっかり睡眠とれてると思ってたけど、やっぱりこの温もりが1番安心するらしい。
熟睡だよ、熟睡。
もそりと動けば身体に回る千世の腕が若干強まる。顔だけ向けると、すんごい綺麗な寝顔がドアップ。
ちょ、ドキッとした。
「───…ん、」
「…ッ!」
なんだこれなんだこれ。
超色っぽい声が耳に、脳にダイレクトに響いたよ。
長い銀色の睫毛がゆっくり瞼が上がっていって、吸い込まれそうな銀色の目に俺が映ってる。
「……おはよう、睦月」
「…おはよう」
すごーく幸せそうな笑顔。
なにこの犬。カッコイイし可愛いし。
ちなみに千世は冬以外は上半身裸で寝る。今日は俺も上半身裸。
寝る前が凄かったからそのまま寝たんだっけ。多分、千世が着せてくれたんだろうな。後処理もちゃんとしてる所が利口な犬だよ、本当に。
「起きよっか」
「わん!」
はい、イイお返事ー。
でもひとまず離そうぜー。
着替えらんないから。そんな離れたくないのか。だがしかし。
「はい、離れようなー」
「……」
むすっとしない!
反動は思ってたより凄いっぽいなこれは。
「着替えて、顔洗って、歯磨きして、いちゃいちゃしようなー」
「……っわんわん!」
千世の部屋にあるクローゼットを開けながら言えば、背後からハイテンションな返事が。
いちゃいちゃに反応したのか。そんないちゃいちゃしたいのか。ちょ、どんだけー。
とりあえず千世の服を借りて着替えを済まして、いざ洗面所。今何時だろ。
洗面所に行きながら、ちらっと時計を見れば午後2時。
結構寝たっぽいな。
熟睡だったから体が軽い軽い。
上機嫌で、背中に引っ付く千世を引きずりながら洗面所に入れば、すぐに千世がタオルを取り出して取りやすい場所に置いてくれる。
「ありがとーう」
にっこにこだよ千世。
美形好きな人が見たら卒倒すんじゃね?うちの子、破壊力凄まじいから。
俺の前以外じゃ無表情なのにね。
振られてる尻尾が見える。
末期かもこれ。
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