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「……むん、」



 明るい陽射しが瞼を通って伝わる。
 たまに変な声が出たりするけど、まあ気にしない。
 背中に温もりがあって横を向いてるのに気づく。


 やばいよ、ぐっすりだよ。
 蓮さんの家に来てからしっかり睡眠とれてると思ってたけど、やっぱりこの温もりが1番安心するらしい。
 熟睡だよ、熟睡。
 もそりと動けば身体に回る千世の腕が若干強まる。顔だけ向けると、すんごい綺麗な寝顔がドアップ。

 ちょ、ドキッとした。



「───…ん、」
「…ッ!」



 なんだこれなんだこれ。
 超色っぽい声が耳に、脳にダイレクトに響いたよ。
 長い銀色の睫毛がゆっくり瞼が上がっていって、吸い込まれそうな銀色の目に俺が映ってる。



「……おはよう、睦月」
「…おはよう」



 すごーく幸せそうな笑顔。
 なにこの犬。カッコイイし可愛いし。
 ちなみに千世は冬以外は上半身裸で寝る。今日は俺も上半身裸。
 寝る前が凄かったからそのまま寝たんだっけ。多分、千世が着せてくれたんだろうな。後処理もちゃんとしてる所が利口な犬だよ、本当に。



「起きよっか」
「わん!」



 はい、イイお返事ー。
 でもひとまず離そうぜー。
 着替えらんないから。そんな離れたくないのか。だがしかし。



「はい、離れようなー」
「……」



 むすっとしない!
 反動は思ってたより凄いっぽいなこれは。



「着替えて、顔洗って、歯磨きして、いちゃいちゃしようなー」
「……っわんわん!」



 千世の部屋にあるクローゼットを開けながら言えば、背後からハイテンションな返事が。
 いちゃいちゃに反応したのか。そんないちゃいちゃしたいのか。ちょ、どんだけー。


 とりあえず千世の服を借りて着替えを済まして、いざ洗面所。今何時だろ。

 洗面所に行きながら、ちらっと時計を見れば午後2時。
 結構寝たっぽいな。
 熟睡だったから体が軽い軽い。
 上機嫌で、背中に引っ付く千世を引きずりながら洗面所に入れば、すぐに千世がタオルを取り出して取りやすい場所に置いてくれる。



「ありがとーう」



 にっこにこだよ千世。

 美形好きな人が見たら卒倒すんじゃね?うちの子、破壊力凄まじいから。
 俺の前以外じゃ無表情なのにね。
 振られてる尻尾が見える。
 末期かもこれ。


 


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