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ふわふわうとうとして、瞼が下がってく。
こんな幸せな気持ち、久しぶりだよ。
バイト先でもそりゃ幸せだけどそれとは違う幸せ。満たされてる幸せ。
「布団で寝ろよ、睦月」
「……ふぁい」
「かみの毛かわかさないとカゼひいちゃうよ?」
「んむ、」
「……犬、」
「うん」
ぐっと圧力を感じて重たい瞼を上げれば、腕を持たれて男前な千鳥の顔がドアップ。
顎には千世の手が添えられて軽く固定されてた。
あんれ、なんか意気投合してない?いつの間にそんな絆深めたの?
なんて呑気に思ってたら。
「ここで寝ちゃったら、千鳥がちょめちょめするって」
「、っ起きる!髪乾かすううう!」
「……チッ」
左側からの千世のおどけた声でばっちり覚めました!
ちょめちょめってなに!気になるんだけど!
いつそんな使い方覚えたのさ。
つかいつ教えたんだ千鳥。
耳元で舌打ちしないで!ぞわってしたから。
「寝ててもいいんだぜ?俺はな」
「だめ!ちょめちょめするのオレ!」
「ちょ、」
待て待て待て!
だからなにその、ちょめちょめって!
なにすんの、なにするつもりなの。かわいく言ってるけど、なにするつもりなの。
「さっさと乾かして寝ろよ」
呆れた感じ溜息を吐いて、千鳥はテレビを消して部屋に向かって行きました。
立ち上がり際にちゅーされましたけど。
湿ってる頭撫でられてちゅーされましたけど。
唇に。ちゅって感じで。
照れちゃうから。いま顔赤いよ。
満足げな顔してたよあの人。
ギラッてした千世を無視してるよ。
久しぶりにちゅーした。
「千鳥!」
「うっせえ。お前いつもしてんだろうが」
吠えてる犬に一喝。怒鳴ってるわけじゃないけど、雰囲気的に。
拗ねてるんだ、千鳥。可愛いなオイ。
仕事から帰って来たら癒してあげないと。俺で癒せるのか疑問だけど、なんか癒されるらしいから。
「ちーせ、髪乾かして寝よ」
「うー…」
「唸らない唸らない。一緒に寝ような」
「…わん」
二人して拗ねるとか。愛されてんね。
バイト先の人達とかとは愛情の深さが違うって、これは。
拗ねてる犬にスキンシップとキスをしまくって、髪の毛乾かしました。
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