15
ゆらゆら揺られて、いつの間にか眠っていたらしく千世の声で目が覚めた。
「おはよう、睦月」
「んん……おはよー」
「おら、降りろ。着いたぞ」
ゆるゆるな返事を返したら溜息が聞こえたけど気のせいにしておこう。
起き上がって車から出れば、地下駐車場。さすが高級マンションだけあるよ。駐車場入るのにもロック解除必要だしね。
地下駐車場にはエレベーターがあって、それに千世と手を繋いだまま乗り込めば千鳥は懐からカードを取り出してボタンの脇にあるスライドさせる機械に通す。
見慣れた光景だけど懐かしくてじっと見てたら、千鳥が振り向いた。
「なんだよ」
「いや、懐かしいなあ、なんて」
ふって鼻で笑われました。
その表情が甘くて甘くて、ドキッとしちゃった。
千鳥と千世が住む部屋はなんとびっくり最上階。
最上階は一部屋だけなんだよ、びっくりだよね。だからこそ、特別なカードがある。
エレベーターの浮遊感を楽しみつつ、ちょっとどきどきしてる。
緊張?いや、楽しみな方が大きいな。
しばらくしてエレベーターが停まる。
扉が開いて目に飛び込むのは、少しの廊下と玄関。入れば、変わらない内装で。
「んんー、やっぱり落ち着く」
「そらよかったな」
今だらしない顔してると思う。
だって千鳥と千世の表情が甘いんだ。
色男め。
「千鳥!お風呂かして!」
「自由に使え、タオルとかの場所は変わってないから」
「うん、わかったー。千世、久しぶりに入ろうか」
「わんわん!」
一緒に入ろう発言した後の、千世と千鳥の温度差が凄かった。
ぴくっと千鳥の眉が動いた気がした。
なんだよー前はよく入ってたじゃんかー。
るんるん気分で脱衣所に手を繋いで向かって行く後ろで、千鳥は広ーいリビングダイニングに向かって行きました。
お風呂お風呂ー。
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