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 なになに?嫉妬してんの?
 男の嫉妬は醜いぞ!なんつって。

 仲よさ気でしょ?仲良いからね。
 千世なんかずっとべったりだよ、可愛い犬だよね本当。


 店の中の雰囲気が凄い。
 初代、二代目、有名らしい【黒猫】と【銀狼】。
 それに【狂犬】と【四神】で、上層部が勢揃いだからね。


 【黒猫】の常に傍にいて猫に従う狼だって、千世も【銀狼】として有名だけどさ。
 ギンロウだって、絶対髪の毛だよね。
 狼には見えないけど。周りにはぶんぶん振られてる尻尾が見えないらしい。
 当たり前か。俺だけか。耳とか尻尾とか見えんの。
 なにここ美形揃いだよ、本当なにここ。



「…【銀狼】、」
「なになに?」
「座り直したいんだけど、」



 体捻った状態で維持はキツいよ。
 せめて前向きたいんだけど。



「ちょっと離して」
「……わん」



 ちょっとだけじゃん。
 なにその寂しそうな顔。可愛いやつめ。
 少し体が離れて体勢を戻すと、すぐに横からまた千世が抱き着いてくる。
 よしよし、と頭を撫でて髪の毛を弄りながら焔紀を見れば。



「なあに?」
「いーや、……プリン食うか?」
「食べる!」



 餌付けだって?
 気にしないもん、焔紀のプリンはうんまいんだから!あまーい笑顔がもうたまらんね!オニイチャン!

 なんて思ったら、動物的本能からか、ぎゅうっと抱きしめる力が増した。
 嫉妬かコラ。


 くるくると千世の髪を弄りながらプリンを待ってる俺の後ろから、ふわりと香水の匂い。
 匂いがする前に千世が反応したから驚きませんよ、俺は。
 この香水をつける人は限られる。



「なーにかな、【白虎】」
「なんの気まぐれだ?」



 小さく耳元で囁かれて、ぞくっとした。
 千鳥の方に顔を向ければカッコイイ顔が近くにある。

 悪戯っ子な笑顔を浮かべる【白虎】の声は、千鳥はもちろん焔紀にも聞こえてるんだろう。

 千世は論外。
 嗅覚視覚聴覚すばぬけてるから、当たり前に聞こえてるけど反応はない。
 基本的に俺以外の言葉は千世には届かないから。一緒に住んでる千鳥は別として。

 今のは関わってたけど、気にすることじゃないんだろう。



「初代に呼ばれたからー」
「それだけかよ」
「俺のは強制だからな」



 焔紀が乱入してきました。
 その手には、綺麗にカラメルのかかった美味しそうなプリン。
 俺はもう釘付けです。


 


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