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なにあのピンクい世界。
喧嘩の時は素晴らしいくらいのチームワークです、あの人達。すごいよねー。
「聞いてんのか?」
「なんとなくだよ」
答えたものの、視線はピンクい雰囲気の方。
なあに、イライラしちゃって、嫉妬してんの?気付かないのにねえ。
焔紀が出してくれたお茶を飲んでたら、ドアが開いた音がした。
けど、足音がない。
首を傾げてそっちを見れば。
「───…ッ、ぁ、」
「来てたのか、【黒猫】」
「久しぶりー」
飛び出すんじゃないかってくらい目を見開いてる千世と、至って平常の千鳥がいました。
変わってないな。
髪の毛伸びたね、相変わらず綺麗な銀色の髪が風で揺れてる。
同色の透き通る銀色の目も、高い身長も、垂れ下がった耳の幻影なんかも懐かしいよ。
「【銀狼】、久しぶり」
「……ッ」
にっこり笑いかけたら、すんごい泣きそうな顔になって。
「っ【黒猫】!」
「ぐふっ」
飛び込んで来ました。
堪えた。俺倒れんの堪えたよ。
ぎゅうぎゅう体を抱きしめる、でかい図体した可愛い愛犬。
変わってないことに安心したのは秘密。
ちゃんと空気呼んで本名で呼ばないし、この恰好の時は呼ぶなって言ってあるからね。
さらりと頬に首にかかる髪の毛を撫で梳いて、ぽんぽんと背中を叩けば更に強くなる拘束に、嬉しくなった。
「会いたかったよ」
「………オレ、オレ…っ」
言いたい事、沢山あるんだろうな。
後でたっぷり聞いてあげよう。
飼い主として放置してた分、たっぷりと。
だから今はこのままにしとく。やっぱり二年は長かったか。
【狂犬】と俺の間に千鳥が座って、焔紀がアイスコーヒーを出してた。
「お前今日どうすんの」
「うん?」
千鳥の方に顔を向けたら、呆れた顔してた。
そんな表情も絵になるなんて罪な男だ。じゃなくて。
「一緒にいるよ」
「わかった」
これで伝わっちゃう感じがいいよね。
顔が緩む緩む。
他の人なんて知りません。気にしません。面倒臭いから。
鋭い視線を寄越してくる【狂犬】とか、ね。
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