05
仁科くんが帰った後、丁度上がりの時間になったみたいで蓮さんから帰宅許可が下りました。
許可必要かよって思ったよね、俺も思った。
住まわせてもらいはじめてから一緒に帰る事が多くて、道を覚えた最近じゃ俺一人で帰る事が増えた。
「明日休みだろう、会えなくて寂しいが、ゆっくりしろよ。お疲れ様」
「はい、お疲れ様でーす」
寂しいとか、そんなまじで寂しそうな顔して爽やかな笑顔向けられちゃったらメロメロになるんですけど。
まあ、俺は帰るし明日休みますけども。
おでこにちゅーされたの蓮さんに見られたら朔也先輩と睨み合いになりそう。
いないけど。二階に居るからここにはいないけど。
知っててちゅーしたからね、朔也先輩。
あなどれん。
手を振って店を出て、歩きながら携帯メールチェック。
良い子は止まって弄りましょう。
「───…あらあら」
メルマガの中に、ほかのフォルダに分類された一件のメールを見て思わず声が出た。
催促かな、これは。
この間思い出したばっかなのに。エスパーか。
───お前、いつまで犬を放っておくつもりだ?
たった一行の本文で、絵文字も顔文字もなし。あったらびっくりするけど。
迷惑かけちゃだめじゃん、千世。
躾が滞ってたからかな。
いや躾は完璧だ。たぶん。
会ったらべったべたに甘やかしてやんないとね。千鳥にもお礼しないと。一応保護者は千鳥だから。
運動とバランスの良い食事は体の基礎を作る材料。あの子人並み外れてるし、身体能力。
泉よりも、確実に上だ。
そんで美形っていうね。何だろうホント、この美形率。
「とりあえず、」
今日の、夜、焔紀の所、行くから、と。
これで来るかな。
さあ、二年ぶりに会うけどなんか変わってるかなあ。
あいつも一応、人間だから。
人権はないんだけどね。犬だから。俺の可愛い犬だから。
「…あぁ、後でメールしとこ」
鼻歌しちゃいそうな気分だよ。
今日帰ったら、忙しくなるなあ。
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