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04
 



 蓮さんは毎日出勤してるけど、必要最低限は顔を出さない。
 シフトやら書類やら、あとは試作品のイメージとか書き出してたりするからね。
あとはわかんない。
 下りてきたと思ったらメシ要求されるけど。



「はー、だけどやっぱりあの初めて食べたケーキは忘れられないっすね」
「ああ、あれねー」



 色々衝撃的だったと思うし。
 うん、色々。


 - ちりん



 仁科くんとまったり話してたら、鈴の音に二人して視線を向けたら。



「…なんだ、珍しい客が来てるな」
「お久しぶりっす!」



 朔也先輩が帰ってきました。
 いつもより持ってる袋が大きいのはなぜ。まとめ買い頼まれたのかな。
 特にイベントなんてないけど。



「荷物すごいですね」
「ただいま、睦月」
「…おかえりなさい」



 スルーですか。いいけども。
 素敵な笑顔でスルーしなくても。



「時任さんに対する態度って、みなさんめちゃくちゃ甘いっすよねー」



 言葉は嫉妬してるみたいな感じだけど、言い方がすごく普通なのが仁科くん。
 侮れんのさこの子は。
 アイスティーを飲みながら、爽やかな笑顔。



「それは、好きだからな」
「俺も好きですよ、時任さんのこと!」
「………え、」
「……」



 えええ、なにこの子爆弾投下してんの。
 なに言っちゃってんの。
 爽やかな笑顔でなに言っちゃってんの。
 朔也先輩も固まってんじゃん。まさかここでそうくるとは思わないって。



「ケーキ美味いし、優しいし楽しいし!」
「………、…あぁ、そうだな」



 すんごい間があったよ先輩。
 多分、色々気付いたんだと思う。
 はい、俺も思いました。

 純粋に好かれてるんだよな、これ。
 朔也先輩が言った言葉の意味はまあ置いといて、純粋に恋愛感情なしの好意。
 そのままでいてくれ、って思ったのは多分俺だけじゃないはず。

 1番最初にケーキが上がった時点で、確実に餌付けで懐かれちゃってるよね。
 甘党男子、仁科諒くん恐るべし。



「今日はなに食べたんだ?」
「モンブランっす!お陰でめちゃくちゃ幸せです」



 ほらほら、朔也先輩なんか安心した顔してるんですよ、ねえ。
 そんなドキッとするような微笑を浮かべる美男を直視しても何にも変わらない仁科くんは、色々とすごいよ。
 俺ドキッとしちゃったよ。


 


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あきゅろす。
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