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02
 



 視線の先には、久しく顔を見てないな、なんて思ってた甘党男子高校生、仁科諒(ニシナ リョウ)くんが立っていました。

 相変わらず可愛い笑顔だね。
 このタイミングで来るとは、もしや。



「近くを通ったら、甘い匂いに誘われて…」
「……やっぱり」



 あはは、なんて笑ってる仁科くんは今時の高校生って感じ。

 焦げ茶色で長めの髪はよく似合ってるし、モテそうな容姿。
 性格も申し分なく、なんか可愛い。
 制服久しぶりに見た。



「しばらくぶり。夏休み楽しんでた?」
「まあまあっすよ、テストも容赦ないっすから」
「へえー、テストとか懐かしい」



 カウンターに腰掛けながら苦笑いしてる仁科くんは、共学の私立校に通ってるらしくて二年生の今の時期は結構きつくなるらしい。
 三年になれば進路も本格的に控えてるからね。進学か就職か。そんな悩みなんてなかったな。



「懐かしいとか、そんな歳じゃないでしょ、時任さんって」
「いやいや、俺、中学途中から行ってないから」
「うそ、まじで。意外っすね」
「えぇ、なにそれ、意外とか」



 まあ、教養は親しいオニイサン方に教わったからそれなりに知識はあるけども。
 意外って。
 そんな意外に見えるのかな。



「とりあえず、アイスティーストレートでお願いしますっ」
「はーい」



 暑いからねー。
 仁科くんはいつも紅茶のストレートだし、メニューから頼んで料金を払うのも紅茶だけ。
 それはなぜか。



「今日は暇だったから、モンブラン作ったのさ」
「モンブランっすか!俺、大好き」
「甘いもんなら殆ど全部じゃん」
「あはは、確かに」



 顔がきらんきらんしてるよ。
 可愛いよね、こういうとこ。

 アイスティーを出して、さっき完成したモンブランを皿に盛りつけて仁科くんの目の前に出したら、めちゃくちゃ顔が緩んだ。
 女子が見たら赤面だよね。
 女子よりケーキな男子も珍しい。



「丁寧にやったから自信作」
「すんごい綺麗でうまそうなんっすけど」



 暇潰しに作るもんは大抵試作品だからお金を取ることはない。
 それを知ってるのは常連さんと知り合いだけ。
 それは蓮さんの決定で、メニューにないものの代金はタダ。
 結構危ないけど、何でも作っちゃうしその分メニュー内容はかなり豊富なんです。


 


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