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「お、新発売やん、これ」
「それ俺の。お前こっち」
「いーけーずぅ」
「うっせぇ、黙れ」



 がさがさと大きめのコンビニ袋を漁ってる金髪を横目に、翼ちゃんは隅っこで死んだように寝てる誰かさんに向かって行く。
 来てからずーっと寝てるけど、本当に起きないよね。大丈夫?生きてる?


 - ゴンッ



「いい加減起きろ」
「───……んぅ、む」



 生きてました。
 色気たっぷりな声が聞こえました。ぞわっとした。
 てかすんごい痛そうな音したけど、そんな起こし方でいいんすか。
 翼ちゃんの体で見えなかったけど、絶対壁に頭ぶつけたよね。



「睦月ー、この弁当でええ?」
「あ、いいっすよー、てか、」
「おん?」



 ぐっと腕に力を入れてみる。
 まあ、忘れてた人の為にいいます。
 言っちゃいます。



「縛られてたら食えないじゃん!」



 はい、今まで普通に会話してたけど、ずっと縛られてましたから。
 痛いし、しかも差し出されても取れないし食えないから。
 いじめ?わざとなの?なんでぽっかーんとしてんのさ。



「……忘れとった」
「ちょ、」



 ふ、ざ、け、ん、な、ゴラァ!ばか!飛鳥ちゃんのばか!



「ごーはーんんん」
「食わせたろか?」
「まじで!」



 縄外すっていう選択肢?どうでもよくね?
 至れり尽くせりっていいよね!
 にっこりはっきり返事したら、頭を小突かれた。
 見れば、そこには翼ちゃん。
 いつ戻ったの。そんな距離ないけど。



「アホ。解けば良いだろ」
「てへ」
「えへ」



 二人して舌を出しちゃう感じ。
 俺がてへ、とかキモいっすねわかります。
 とりあえず、解けばって言ったけど、じゃあなんで縛ったのさ。
 気分ですか。雰囲気ですか。まあいいけど。
 空腹には勝てないんだぜー。




 そーいや俺、こんなのほほんとしてて良いのか?
 緊迫感とか全然感じないけど、良いのか?いや、いまさら緊迫感持たされても困るし持たないけどね。


 お弁当を完食して、ペットボトルのお茶を飲みつつ目の前で雑談してる美男二人を見遣る。

 …因みにV系な男前、昴くんはもそもそと菓子パン食べてる。
 なんかね、見た目と違って柔らかいのさ。びっくりしたよ俺。ギャップの人だよ。つかギャップの人ってなんだ?
 どうでもいいけど、なんか雰囲気が社に似てるのは俺の気のせい?


 あ、あー…なんか嫌な事思い出した。
 絶対俺、帰ったら怒られる。特に、特に千春先輩に怒られる。
 思い出したらテンションがめちゃくちゃ下がった。



 


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