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男に恋愛感情抱かれちゃって。
しかも美形。
いやそこらへん偏見はないけどね。
ただ俺は、男だとか女だとかいう性別よりその人をひとりの人間としてしか見てないだけで。
恋愛は自由だよねー。
俺に恋愛感情なんていうふわふわしたピンクい感情なんてもんは、ないんだけどね。
好きとか嫌いとか、そういうのは突発的に抱く。
恋愛感情云々じゃなく。
それなりに独占欲とかあったりするけど、言葉で説明すんのは難しいったらない。
同じものは返せないくせに。
俺は俺の愛情で返すだけ。愛情には愛情を。
例えそれが、別のものだとしても。
話逸れた。
まあ、よくある人質って感じじゃないし、なんか拍子抜け。
興味があるわけでもないし。とにかくお腹すいた。腹減り腹減りー。
「はあ、コンビニ行ってくっか」
溜息を吐いて、ツバサちゃんは素敵な発言をしてくれました。
「おん、俺コーヒーと何か」
「なんかってなんだ」
「食いもんに決まっとるやろー」
「決まってねーよ」
「そうケチケチせんで」
「ムカつくな」
「いまさらいまさら」
いい感じのテンポで会話が進んで、きらん、と俺の目は輝いた。
「俺も何か食べたいです!」
はいはい!って、今は手があげらんないから、声で主張してみました。
そしたら目を見開かれちゃいました。
なにさ、何か食べたいって言っただけじゃん。
「……お前、さ」
「うん?」
なになに?
そんな呆れた顔も男前とか、ちょっと羨ましいんですけど。
でもあの店の人達とか知り合いの誰かさんには劣ります。いや、あの人達が無駄に凄すぎるだけですねわかります。
「ええやん、ついでやついで」
「……マジ調子狂う…」
何さ何さ。
俺は自分に正直なだけですー。
ツバサちゃんは襟足をかきながら部屋から怠そうに出て、俺は金髪と向かい合う。
「ま、折角やし、名前教えといたるわ」
「……へ?」
へらっとした笑顔だけどさ。
まさかここで紹介されるとは思わないよね、そんな雰囲気になったの?
気になるんですけど。
アスカちゃん結構気分屋なんだね。こういう場合って、普通紹介とかしなくね?
これって拉致監禁だよね?
なに、俺の思い込み?
どうでもいい事を考えてたら、アスカちゃんはノリノリで自分達の名前を教えてくれました。
いや、うん。べつに知りたくないです。なんて言わないけどさ。
金髪のアスカちゃんの紹介で知ったこと。
アスカちゃんは、如月飛鳥(キサラギ アスカ)。
買い出しに行かされたツバサちゃんは、早乙女翼(サオトメ ツバサ)。
で、ずーっと起きないV系な人が、樋口昴(ヒグチ スバル)。
みんな19歳らしい。
大学生だったんですね。
先輩だったんですね。
俺の感想はそれだけですけど何か。
名前が分かった所で、名前を教えて、なんてイイ笑顔で聞かれたから普通に答えました。
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