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おーい!
ツバサちゃーん、目を覚まして!
目の前で手の平振ったり出来ないんだから、とりあえずアスカちゃん笑ってないでなんとかして!
「つーばーさ!」
「───…ッ」
「なんやどないしたん」
笑い堪えながら言ってもね。
めちゃくちゃ睨んでんじゃん。お陰で目を覚ましてくれましたけど。
そろそろ腕が痛くなってきたよ。
手首が痛いよ、手首が。
ああ、なんか、
「……腹減った」
「ぶはっ」
「……は?」
アスカちゃんが吹き出して、ツバサちゃんが唖然としてる。
なんか変なこと言った?ひどくね?
「おもろい奴やなぁ」
「あほだろ、コイツ」
え、ちょ、ひどっ。
むっちゃん泣いちゃう!
……うん、まあ俺キモいね。
なんやかんやと目の前で二人はなにやら話してるし、放置されてる側としたらつまんないんだよね。
てかさ、なんか、こうもっとどろどろした嫉妬の感情でアレコレとかないの?
喧嘩で負けた嫉妬の仕返しなんて、在り来りすぎて退屈だ。
こんなさっぱりすっきり答えが出ちゃってるのはねぇ。
何かと予想したりするのが好きな俺からすりゃ、ある意味お手上げ。
あれこれ考えるのは楽しい。けどこれ考える前に分かっちゃってるし。
俺だけ?そう思ってんの俺だけ?さみしくね?
ご丁寧に通り名で呼んでたけど、本名を知らないわけじゃないだろうし。
だって俺の携帯に登録されてるのは【狂犬】の本名で、わざわざ通り名で登録とかどんだけって話ですよ。
夜の世界で面識があるのはイイんだけどさ。なんで俺を選んだのかな、なんて。
まあ、人に懐かないって噂があるから、どっから聞き付けたのか知らないけど俺に好意を持ってくれてるらしい【狂犬】の弱点だとか思ったのかな。
たかがバイト先の後輩の俺が、こんな事に巻き込まれちゃって、もう、どうすんのさ。
俺、一般人なんですけど。
今俺は時任睦月であって、ただの普通の平凡な男なんだけど。
【黒猫】?そんなもんいません。
大切な人だから、なんて理由なら随分と一方的じゃないか。そりゃあ大切だけど。
でも、相手が抱く感情と、俺の抱く感情の大切は違う。
恋愛感情だっていつだったか面と向かって言われた事があったかなあ。
まあ、職場だったからそれを聞いてた千春先輩とか朔也先輩とか蓮さんに、言ったその直後フルボッコされてたのは懐かしい思い出です。
なんつって。
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