[携帯モード] [URL送信]
20
 


 連休から二日、今日のバイトは昼からで、店に行ったら千春先輩と朔也先輩のほんわかクール組が居ました。



「おはよう睦月」
「おはよう」
「おはよーございます」



 昼時でも客足の遠い店内は数組のお年寄りくらいで、忙しくはない。
 今日は千春先輩が一日居るみたいで、朔也先輩が先に上がって、あとは閉店まで二人である。
 蓮さんは相変わらず二階に引きこもりである。


 朔也先輩が帰ったあと、二組の若いカップルが来店して案の定千春先輩の王子さま的な雰囲気に見惚れてた。
 あのスマイルに見惚れない人は居ないだろう。
 俺の周りには見惚れる美形ばっかり。
 美人は三日で飽きるとか言ったの誰だよ。飽きないよ。毎日がドキドキだよ。


 注文された料理を提供してから、後に出すデザートをのんびり作っていると近くの席だった二組カップルの会話が耳に入ってくる。



「最近さあ、夜中物騒らしいよ」
「なに、事件かなんかあったの?」
「あー知ってる、不良がなんか誰か追ってるんだってさ」
「なにそれ、どっから情報?」
「友達の弟が夜遊びしてて、そっから」
「よくやるよなー、ホント迷惑」
「別にここら辺の不良とかって関係ない奴に手ぇ出さないから、こっちから喧嘩売らなきゃ何もされねーよ?」
「不良は不良じゃん」
「でもそれ聞いたことあるよー、カツアゲされそうになってた人助けたりしてるみたい」
「噂だろ?」
「ここら辺でオヤジ狩りとか聞かないけどねぇ」
「お前ヤンキーとか嫌いだもんな」
「あんなん何が楽しいのかわかんねーじゃん」
「あはは、なんかされたのぉ?」
「別になんも。暴力楽しいとか理解出来ないだけ」
「ウケる」
「危ねーから夜に一人で外出んなよな」
「出ない出ない」



 まー、一般人からすれば不良のイメージなんてそんなもんだよなぁ、と思いながらもデザートの盛り付けをして、ふと目線を上げたら千春先輩がにっこりしてた。



「物騒だね」
「そうみたいですねー、俺はあんま出ないんで分かんないけど」
「そっか」



 がっつり出歩いてるし話の当事者だけど、そんなん言っちゃったら蓮さんに伝わって何かしらされそうだから無理。めんどい。困る。
 出禁にはならないんだろうけど、身体的になんかされそう。


 カップル達の会話はもう不良の話ではなくネットの話になっていて、一般人にも広がるくらいには鬼ごっこが盛り上がってるらしい。



 


[*][#]

20/31ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!