19 帰宅してから千鳥が帰ってくるまで、千世はそれはもう衣服のように常に肌に張り付いていた。 あとちょっと食われた。 なにをって、まあ、体を。ナニを。 身体中舐められて弱く噛まれてべったべたになって、風呂に入ったらその風呂の中でも食われた。 昨日は三人で寝てたし今日は夜に帰るから、触りたくてもあまり触れなかったわけだし良いかなと好きにさせてたんだけど。 千鳥が帰ってくるから、っていう制限が無かったら吸い付くされてたわ。 風呂から上がって髪を乾かし終えて、今日買ったポンポンのヘアゴムで千世の前髪をちょんまげにしてみたら、思ってたより可愛くて写真撮りまくりました。 で、玄関の開閉音がして千鳥が帰ってきた!って興奮気味に千世を引っ張って出迎えしたわけだが。 「……なにしてんだ」 「めっちゃ可愛くない?」 「男の園児でもやんねーぞ」 「そりゃそうだ」 もう一種類買ったんだよ、と言ったら「お前が付けろ」と返されたので、千鳥が風呂に入って着替えてくる間に千世にやってもらった。 なんでも出来るな、うちの犬は。 で、千鳥が戻ってきたのを見計らって目の前にちょんまげで出たら無言で見下ろされた。 「……」 「え、まさかのノーコメント?」 さすがに俺じゃキツかったか、ふざけすぎたかとヘアゴムを外そうとしたら手を掴まれて無言でキスされた。 なんでそうなった。 「っ千鳥のばかー!睦月はオレのなのーっ!」 「ん、む…っン」 「……帰したく無くなった」 「それは困る」 近くで吠える犬は完全にスルー。 千鳥の熱いディープなキスで腰砕けになりそうだった。 さすがに明日はバイトもあるので帰らなきゃいけない。 この空間は俺にとって癒しなので居たいのは確かなんだけどね、ごめんよ。 「疲れ飛んだ」 「ええー…」 ちょんまげで疲れ飛ぶって、軽すぎない? いやちょんまげが強いの? 仕事から帰ったばっかりで風呂も上がったばかりなので、時間もあるしゆっくりしてから送ってもらう事になった。 帰るときにはヘアゴム外されました。 家でしかやっちゃダメみたい。 なにその可愛い我が儘。 帰りの車の中で、近いうちに【白猫】と手引きしている奴らが捕まるから、とだけ伝えられた。 一週間って言っても長いもんね。 [*][#] [戻る] |