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 ふふん、残念だな。
 そんな睨みよりもリアルに威圧感が目に見える凄まじい睨みを俺は知ってるぜ!
 視線で人を殺せちゃうのだ。


 いいもんいいもん。
 勢い余って転げ落ちてやる。
 変な声出してやる。
 金髪と会話してる電話の向こうの誰かさんに、ギリ聞こえるくらいな声で叫んでやる!

 てことで、ソファーから落ちまーす。
 凄むほどじゃないけどね。




「は?…ちょ、なにやって、」



 びっくりしてるツバサちゃんなんかスルーです。
 フルシカトです。
 だってつまんないんだもん。なんつって。



 - ドンッ



 ぐっと前に体重をかけて、俺はソファーから勢い良く落ちた。



「……っ…いった!ちょ、いたい!」
「……はあ?」



 なにしてんのコイツ、って顔で見てるツバサちゃん。

 俺はそれを綺麗にスルーして、出来るだけ大きな声で言ってやった。
 まあ、届いてるかはさておき。
 結構高さあったんだねこのソファー、まじで痛いんだけど。肩とか痛い。



「……ツバサ」
「んだよ」



 金髪の声が頭上から聞こえたけど、肩と腰が痛いから見えない。見られるけど見られない。



「……なんか、電話切れたんやけど」
「………」



 沈黙。

 切れたってことは聞こえたんだー。
 よかったよかった。

 俺の顔は、髪の毛と床に向けてるせいで見えないと思う。見られても困んないけどさ。
 まあ俺、今笑ってるからね。





 その後金髪に起こされてソファーに座る形になった俺は、ツバサちゃんのしかめっつらと対面しております。
 やめてよ、そんな顔しないで。
 吹き出しそうになるから。



「お前、なんでそんな普通なんだよ」
「……へ?」



 急にしゃべったと思ったら、何を言い出すのやら。
 普通って?基準どこの誰よ。的確な言葉言ってくんなきゃ分かりません!
 なんて言わない。
 空気読める男ですから!



「これでもテンパってるんデスけど」
「うそつけ」
「えー、だって、テンパってさっきこっから落ちたじゃないっすかー」
「わざとだろーが」
「ありゃ、バレたか」



 言いながら、こてん、と首を左に倒した。

 なんでそんな目を見開くのさ。
 なに、俺の言葉?
 認めたのが意外だったとか?首傾げた事じゃないよね、まさかね。ないない。


 とりあえずアスカちゃん、笑い堪えてるんだろうけど堪えきれてないよ。
 肩揺らし過ぎだよ。何がツボったんだよ。
 首傾げてるの疲れたな。
 誰か、目の前で固まってるツバサちゃんをなんとかしてくれ。


 


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