16
───目が覚めたら犬に腕で緊縛されてた。
昨日帰ったのは日付が変わる少し前で、千鳥も仕事があるから用件が済んだらとっとと撤退みたいな感じだった。
焔紀が夜食にって手作りシュークリームくれたけど。
太らす気か。
食べましたけども。
あの店にシュークリーム作れる機材あったんか、と疑問したものの、家で作って冷蔵庫に入れてたんだって。
俺に食べさせたいが為に。
イケメンも程々にしろよと思うけど、ありがたく頂きました。
ちゃんと千世のもあってさすが兄貴！って感じよ。
焔紀と千鳥が作る食べ物に関して、千世は文句ひとつ言わないっつーか寧ろ餌付けされてる。
離すまいと腕を体に絡み付かせている犬は幸せそうに寝てて、でもトイレ行きたいから離してほしい。
「千世、離して」
「……わぅん」
なにこいつカワイイ。
眠りながらの新しい返事の声を聞いてちょっと癒されつつ、体を伸ばして部屋を出た。
当然ながら千鳥は仕事で不在。
何だかんだ寝たのは日付変わってからだし、さっき時計見たら１０時くらいだった。
千世を起こして軽く朝御飯食べさせてから散歩かなー、とトイレから出てリビングの窓から外を見れば、大変よい天気。
暑くもなく寒くもない秋の気候は過ごしやすくて良いね。
長袖大好きな俺は暑い夏でもタンクトップに薄い長袖なんだけど、やっぱり秋から冬、春の始め辺りが一番いい。
フード付きの長袖が沢山あるし、半袖なんか指に収まるくらいの枚数しかない。
まあだから夏でも日焼けしなくて白っぽい。豆付きもやしですが何か。
部屋に戻ってベッドを見ると、いつの間にか千世が大の字になってた。
一緒に寝てる時は寝相悪くないんだけど、千鳥曰くベッドにひとりで寝てると大概が大の字らしい。
寝てるところ見てるんだ。
なんか笑うわ。
俺が心を許している千鳥だから千世も気を張ったりしてない。
何だかんだ俺が飼い主って言っても、拾われてからずっと一緒だもんね。
千鳥相手に気を張り詰める理由もないからね。たまに半ば本気でプロレスごっこしてるらしいけど。
俺のいない所でそれやってるって考えたら、嫌み言い合っても仲良しなんだもんなあ。二人とも可愛いよね。
［*］［#］
[戻る]
無料HPエムペ！
携帯モード]
[
URL送信]
