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てなわけで。
「ねぇ【銀狼】、ゲームしよっか」
「ゲーム?」
囁くように言うと、同じように囁きで返してくる。
首を傾げた千世の向こう側は、集会で奥に纏まっている不良達でいっぱいだ。
ほぼ全員が千鳥に目を向ける中で俺は千世に笑みを向けた。
まあ見えてるのは口元だけですが。
「───この中に居る、悪ーいスパイを見つけられたら、明日お散歩デートして、夜まで俺を好きに出来るよ」
普段家で洋画をよく観ているらしい千世は、スパイが何なのかを分かってる。
まあその報酬が千世にとってのご褒美なのだから乗らないわけないし、俺とするゲームが単純に好きなんだけど。
案の定キラキラした眼差しをする千世に、可愛いなぁ、なんて思いながら千鳥の声に耳を傾けた。
「がんばる」
「おー」
まあ千世なら頑張るほどじゃないんだけど、お散歩と夜の為ならちゃんと見つけるよ! って感じだろうな。
これはカウンターの端にいて、自分にしか聞こえない声で喋っているから誰も気付かない内緒話だ。
千世はそれも楽しいんだろう。
俺が楽しんでるからな。
焔紀が出してくれた紅茶と、千世にはホットミルク。
それぞれ口にしながらも千鳥が考案したゲームに乗って俺も愛犬とその場限りのゲームを始めた。
チーム全体でやるゲームの説明はこうだ。
期間は今から一週間。
【白猫】達を生きて捕縛すること。
たったそれだけの単純明快なルールで行われる長期的鬼ごっこである。
「ゲームだから捕らえた奴には賞品も考えてる。それはこっちで決めるが、出来る範囲の要望なら聞く」
捕まえるのは個人でもチームの団体でも良いらしい。
どちらにせよ賞品は捕まえた個人またはチーム全員にあるんだとか。太っ腹ー。
賞品やら景品が無くても『tutelary』に属する不良やその傘下チームの不良達は、みんなゲームというか遊びが大好きだからやるんだろうけど。
ただ鬼ごっこするだけじゃつまらないし、たまには身内で競うのも良いだろうという余興みたいなものだ。
その遊びに巻き込まれてるのが【白猫】っていうね。
騒動に巻き込むんじゃなくて巻き込まれてるってのかまた、可哀想にな。
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