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どっちだ、という視線もあれば【黒猫】だという安堵や確信もある。
意味の無い喧嘩や理不尽な暴力を良しとしない『tutelary』で、【黒猫】だけが例外なんてそんな事は無い。
そもそも、【黒猫】がそれをしない、というのはいつの間にか定着したイメージでもあるのだ。
率先して喧嘩に参加した事ないし。
それでも少しばかりの疑いはあって、いくら【銀狼】や慧、千鳥などの上層部いつもの面子が俺に絡んできていても、噂の【黒猫】が行動している時はまったく知らない二人が付いている。
チームの知らない所で動いているから、潰し屋だとかいう噂も出てるわけで。
真偽を確かめるために今回参加したヤツも居るはず。
あとは、『tutelary』の傘下含むこの集会で、どういう決定が成されるのか知るための情報収集とかね。
「どっちがどっちーとか」
「僕らみたいだねえ?」
「そーね」
側に来た寒色ブラザーズがニヤニヤしながら言ってきた。
集会はもう始まっていて、とりあえず噂の件以外での近況報告を交わしている。
「ねこが【黒猫】なのに」
「アッチも【黒猫】じゃあややこしいからー」
「「【白猫】で良くない?」」
あー、まあ確かにややこしいんだよ。
でもだからって白猫。
黒猫の方が悪っぽくない?俺だけ?
しかし双子のネーミングは中々に単純で覚えやすいので、これからは【白猫】と呼ぶことにしようと思います。
「じゃあ【白猫】で」
「あっさりー」
「さっすがー」
何がだ。
まあとりあえずそういうことで、と話を聞いていた焔紀に言うと、「はいはい」とフード越しに頭を撫でられた。
近況報告が終わって、本題である噂の件について話が上がる。
双子も離れて、隣には千世だけが俺の手にだけ興味を向けて遊んでる。
「───件の偽物については【白猫】って呼ぶことになったらしいが、野放しにしてると後々面倒臭い事にしかならねぇ。そこでだ、」
『tutelary』含む傘下チームで、一週間以内に【白猫】を含む三人を捕縛すること。
千鳥の言葉に参加している不良達がざわめくが、すぐに静かになった。
───ただ捕縛するのではつまらないからと千鳥が考えたのは、【白猫】とその仲間達を捕縛するゲームである。
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