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08
 


 どうやら千鳥や焔紀がチームメンバーや傘下に対し噂について何も言わなかったのは、俺がどうするかで何をするか決めるつもりだったんだとか。
 どんだけ。
 確かに偽物は【黒猫】を名乗ってはいるけど、噂を聞いて俺がまったく興味無い場合は水面下で処理する予定だった、らしい。

 でも俺は【黒猫】を見たいと言った。正体を知りたいと。



「生け捕りにする」
「せめて捕縛って言って」



 狩りみたいに言わないでよカッコイイだけなんだから。

 『tutelary』現総長である千鳥の決定は、噂の【黒猫】を捕まえること。
 に、なりました。
 俺の言葉で左右されるなんて本当甘やかすよね。当事者だからなのもあるんだろうけどさ。


 とにかく、たぶん噂の正体を知りたい人間は結構居るし、それが事実なのか確かめたいとか、被害に会ったヤツの友達だったりすると報復したい、なんて考えたりしてるのかもしれない。

 傘下含めたチーム総動員で、この数日で奇襲掛けても相手に捕まっていなかった案外逃げ足の早い【黒猫】を捕まえる。
 だいぶ大袈裟なんだけど。
 ぶっちゃけすぐ捕まる気しかしてない。



「少しの間は鬼ごっこ楽しんでみれば?」
「そうだな」



 あっさりと提案を飲んだ千鳥は、最初は下っ派さん達に追いかけてもらうらしい。
 上層部忙しそうだもんね。呼べば来ると思うけどね。

 千鳥の言う捕縛対象は何も【黒猫】だけではない。
 偽物さんを裏で手引きしている人物も、一緒に引っ張り出す前提の話だ。
 調べれば分かる事だが、色々な所から噂を聞いているとどうやら個人的なものではないらしい。


 なんのために偽物を作ったのか。
 【黒猫】を、呼び寄せる為だ。


 さてはて。
 大規模なお遊びの始まりだ。
 俺のちょっかいがどう動くかもちょっと気になるし。



「じゃ、もう寝よー」
「ああ」



 体を起こしたら犬がすぐ傍でずっと拗ねてたので、とりあえず頭を撫でたらすぐに笑顔になった。
 現金なやつだ。可愛いけど。


 とりあえず三人寝るのに千鳥の部屋のベッドでは窮屈なので、千世の部屋のでかいベッドで寝ることにした。
 当然俺が真ん中である。
 高級パンのサンドイッチはここでも健在だ。
 相変わらず具材が地味だけどな。



 

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