06
とりあえず報告よりも千鳥が先、と犬が拗ねてるのを気にせずに仰向けから横を向いて抱きついた。
危ないことしたお仕置きにしておこう。
髪を梳き撫でてくれる感覚がして、これ癒されてんの俺じゃね?とか思わなくもない。
「千鳥、今日は一緒に寝ようね」
「出来れば毎日そうしてもらいたい所だけどな」
こんなん言われて落ちないヤツいんの?プロポーズみたいなもんじゃん。
あまりに声が甘いから恥ずかしくなって腹に顔を押し付けると、角度がやらしいと言われて吹いた。
千鳥の俺に対する発言の方が頻繁にやらしいんですけどね。
この見た目だから許されるというか相乗効果というかやらしさ倍増というか。
そんな事を考えてながらも、さっきの出来事をもう忘れかけている事に気が付いた。
これ後回しにしたら絶対また会うまで忘れるやつだ、と思って、腕を緩めてから千鳥を見上げた。
「そーいやね、こっち来る前に溜まり場に寄ったのさ」
「一人で行くなよ。危ねぇだろ」
「溜まり場なのに?」
「経営者がお前にとって危ねえに決まってんだろ」
「ええ…」
まさかのそっち。
幹部忙しいから殆ど居ないって知ってるんだなぁ。
焔紀が俺に危ないことしないと思うけど、と言うと、千鳥は俺のほっぺたを軽く摘まんだ。地味に痛いです。
「バカは何するか分からないだろ」
いやそれ言ったらあんたも充分危ないんですけども。
焔紀より一緒に居る時間が長いのもあってか、過去に何度も襲われかけてたりする。特に同棲中は。
寝起きは無闇に声かけながら触れたりしないって決めたくらいだ。
摘まんだ箇所を撫でる手付きが何とも妖しいが、そこはスルーしといて。
「まあ話に戻るけど、千鳥って最近の噂知ってる?」
「偽物の話か」
わお、話が早い。
溜まり場、噂とくれば最近盛り上がっているらしい偽物の話題になるのか。
当然その件は出てすぐに情報が入ったみたいで、でも本当につい最近、一昨日やその前辺りなんだとか。
焔紀は数日前って言ってたけどあの人雑に説明しやがったな。
一週間くらいだと思ってたのに。
でも二日三日としたらあまりにも情報の伝達スピードが早いし、被害や遭遇率も高いよな。
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