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02
 


 【黒猫】と【銀狼】はセット扱いが基本になっているにも関わらず、噂の彼は犬を連れていない。
 その時点で、噂を信じている又は疑いを持っている人達の殆どが新参であると言って良い、なんて焔紀は言うけど。

 俺が以前二年ぶりにここに来てから数日でこの話が出るって事は、復帰説を聞いた誰かが何かの目的を持って動いてる可能性がなくもない。
 【黒猫】が行方知れずになってから再び出てくるまでそんな話はなかったわけだし。
 でも今さら?って感じもする。



「今もそこらへんに居たりして」
「あり得ねぇ話じゃねーな」



 ふむふむ。
 これから千鳥の家に行く予定があるけど、寄り道するのもアリかな。

 前の日に行くよーって連絡してあるものの溜まり場に行くとは言ってないので、いつ着くなんても決めてない。
 だから単独行動が出来るのだ。犬は良くも悪くも目立つからね。


 なんて考えていると、それを読んだのか焔紀が愉快そうに笑みを浮かべた。



「あんま突っ掛かんなよ」
「様子見、様子見」



 ホントかよ、と鼻で笑った焔紀だが止める気はないっぽい。

 まあある程度の回避能力はあるし、今日はカラコンしてないからフードのファー外して脱いでおけば群衆に紛れる事は容易だ。

 何しろ目立つ容姿でもなけりゃ特徴もないわけだし、そこらへんに居る一般人なんだから。
 全身真っ黒なんてよく居るし、まず【黒猫】とバレない。


 今日で見付からなくてもそのうち遭遇するでしょ。
 ここら辺で動いてるなら尚更、ぶっちゃけ棗に頼めば楽々発見できるけど何か最近学業忙しいみたいだし。
 だから珍しく【四神】が不在。
 幹部がいない溜まり場なのにいつも通りなのは、日頃の教育が活きている証である。

 どっかからすぐ情報が入るから下手な事出来ないもんね。
 公開処刑不可避。こわ。



「じゃ、ご馳走さまでした。また来るよ」
「気を付けろよ」



 出されていた美味しいカフェオレを飲み干してカウンターのイスから降りると、甘ーい声と笑顔でお見送りされた。
 男すら落とせる凶器である。
 かっこいい兄貴ですこと。



 賑わう溜まり場を後に千鳥の家であるマンションまでのんびり行こうと、大通りに出る道を歩いていたら1つ手前の十字路の右側から複数の声がした。


 


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あきゅろす。
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