03
その時、いつかの誰かが「あの人は嵐の様だ」と言っていたのを思い出したんだ。
泉の様子がおかしくなってきた、という話をしたのは早くも数日前で。
今日は泉はお休み。てか学校らしい。
凄いよ、不良なのに成績良いんだって、なんかアレだよね。
期待を良い意味で裏切っちゃう感じ。
無駄に人並み以上に運動神経良くて、かっこよくて、頭良いとかさ。
嫉妬、とか、ありそうだよね。
面白そうな出来事とか、すんごーくありそうで気になっちゃうこの感じ。
そう思うと学校行っても良かったかも、なんて思っちゃう。
行く気ないけどね。今更だしね。
というわけで今日もバイトです。
殆ど毎日だけど、基本的に週五日出勤だけど、楽しいからむしろ六日でも良い!なんて言っちゃった日にはマジで週六日にされるから言わない。
侮ってはいけません。
蓮さんを侮ってはいけません。
大事な事なので二回言いました。
その分稼げるけどさ、休みって欲しいよね、一応さ。
ぼけっとしてる時間のが長かったりするから休んでんのと大差ないんだけど、こう、心持ちがあるんだよ。
暇な仕事だから休みと同じっつーか、暇疲れするじゃん。仕事って気持ちだと。
一日休みって言ったらもうさ、心から休めるじゃん。うまく言えません。
「ありがとうございましたー」
常連のおじいちゃんがいつも通りのメニューを頼んで、いつも通りまったりゆっくり寛いでいつも通り帰った後にテーブルの片付け。
やばいよ、今日おじいちゃん一人だけだよお客さん。
経営状況大丈夫なのか?
いいのか?こんなんでいいのか?
まあ、いいんだろうけど。
あの人の将来設計だったらしいし。
ゆったりした喫茶店を営むってのが将来設計でそれを本気で実行する辺り、本当カッコイイわ、うん。
なんて思いながらも、使われてない数少ないテーブルも拭いていく。
- ちりん
「いらっしゃいまー…ぁぁぁ」
「なんだその出迎えは。失礼な従業員だなオイ」
扉に付けた鈴の音で反射的に言葉を発しながら振り向けば、そこにいたのは見知った顔で、思わずうなだれてしまった。
失礼なヤツとか言いながら面白いモン見つけたみたいに笑ってる突然の来訪者に、どこから突っ込みを入れるべきだろう。
「なんで此処で働いてるって知ってんの、えっちゃん」
「なんでだろうなあ、むっちゃん」
相変わらずノリ良いんスね。
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