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端正な容姿に、スラリと高めの身長、長い髪は桃色でサイドが濃いピンク。常に制服のポケットには棒付きキャンディがあり、本人の口からは飴の棒が当たり前のように突き出ている。
いつの間にかその飴の棒がトレードマークとなり、雰囲気も相まって、全体的に甘い印象を抱かれる。
八月一日慧は久々に溜めてしまった仕事を片付けると、会長席から立ち上がる。
何事かと気に止める者はいない。
なにせいつもの事なのだから。
足早に慧が生徒会室を出た後、残った四人は何も疑問を抱かず、仕事を終わらせてしまっているので自由に動いている。
「今回はなんの」
「コスプレかなぁ」
生徒室の端、出窓になっている場所に向かい合って座り、同じ顔で似た声で綺麗にタイミングが合った言葉。
いかにも悪戯好きというような、瓜二つの顔を持つ双子。
生徒会会計、白樺都(シラカバ ミヤコ)と帝(ミカド)である。
「また写真を焼まわしして貰いましょうね」
双子の言葉に返事をした宮西誠は、ただにっこりと柔らかく笑っている。
「……ハァ」
その近くの机に向かっていた、生徒会書記の鳥羽翔太郎(トバ ショウタロウ)は、ノートパソコンで趣味のネットサーフィンをしながらも聞こえて来る会話に呆れたため息を吐いただけであった。
「……」
同じ生徒会棟の三階。
ちなみに五階建てで、最上階が生徒会室である。
一般寮とは違い、一人部屋の生徒会専用寮。
一人には広すぎるくらいの部屋で、生徒会長は真面目な顔でパソコンの画面を見つめている。
「……ふ、」
が、突如慧は肩を揺らし、不気味に笑いはじめた。
「んふふふ……今度のお土産はコレにしよっかなぁ…」
どうやら誰かに会いに行くようで、手土産を選んでいるらしい。
だがしかし、不可解な笑みと不吉な独り言は続く。
「…こっちもいいなぁ、にゃんこ成り切りセットかー……うーん、軍服もいい。……婦警かぁ…学ラン……は持ってるし…」
パソコンの画面には、様々な衣装の画像が貼られていた。
同時刻、朝比奈家居間。
「……っ」
「どうした、睦月?」
…いや、なんか寒気が。
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