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生徒会長の至福。‐01
 


 名門私立東ヶ丘学園高校。
 一般的に東ヶ丘高校と呼ばれているその学園は、男子校全寮制のハイレベルな学園である。
 初等部や中等部がなく、エスカレーター式で進級できない東ヶ丘への入学は、確実に個人の実力による受験入学。

 裏口入学で生徒になった者もいるが、学園の指定した最低レベルまで学力がなければそれも望めない。


 そんな異性という花のない学園ではあるが、現実は高価な花が咲いているもので。
 学力、家柄という名の権力、個人のカリスマ性もあり、そして何より学園で注目され崇拝に近い扱いをされるのが、端正な容姿。

 同性が見惚れてしまう程の容姿を持つ者もいれば、一般的な異性よりも愛らしい容姿を持つ者もいるという、何とも不思議な学園である。








「……っしゃー!終わったぁぁぁ」



 ある日の放課後、夕日が空を染める時刻。
 学園のメイン校舎から少し離れて建っている棟の一室で、張り上がる声。


 学園理事長の次に学園で力を持つと言われ、それが当たり前の委員会最高峰に値する、生徒会役員専用として関係者以外立入禁止という、生徒会棟である。

 ただ生徒会だからと力を持つだけではなく、生徒会としての仕事を熟し、更に家柄、学力、容姿、カリスマ性共に学園内で最上級を持っていなければ、生徒会役員にはなれないのだ。
 役員を決めるのは全校生徒の投票、最終的な理事長の決定が絶対ルール。
 そこで勝ち残った五人は、良いか悪いか全員が幼なじみであった。



「溜め込むのを止めれば、そんな目にはあいません」



 広い生徒会室のソファーから、ぴしゃりと放たれた言葉は日常茶飯事なので、言われた本人は特に気にしていないようで反応がない。

 優雅に湯呑みを持ち、温かいお茶を飲んでいるのは生徒会副会長、宮西誠(ミヤニシ マコト)。

 現生徒会長と副会長を見れば、誰でも一度は思う事がある。



「あぁぁ……むっちゃんに会いたい」



 会長専用席でうなだれている生徒会長、八月一日慧(ホズミ ケイ)。
 まったくやる気を感じさせない雰囲気を持つ、超甘党である。
 なので誰しもが、絶対会長と副会長として立場逆だと思う、と一度は疑問を抱くのである。


 


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