02
「……え、チュトラリー?」
「俺が作ったチームだ。ここはその溜まり場専用に建てた」
「建て、た?」
「建築家が知り合いにいてな。まあ、半分以上は勝手に弄ったから原形なんざ外見だけだが」
男はあっさりとそう言って。
大体、目の前の男は店にいる高校生の奴等と対して歳に差があるように見えない。
なのに知り合いに建築家?半分以上自分で弄った?
なんだ、こいつ。
なんでこんな、発言が、カッコいいんだ。
憧れ。
その言葉が、一瞬浮かんだ。
「お前、退屈そうな顔してるし。ここは好きな時に好きなだけいていい。ただしルールは守れ。そんだけだ」
「……ルール、」
ニヤリと口端を上げた男は、なめらかな動作で煙草を加え、火をつける。
その行動も絵になるなんて、凄すぎる。
「常識は当たり前。一般人に手を出すな、」
突然言い出した男は、白い煙を吐き出して。
───喧嘩は売られたら買う。仲間は大切にする。裏切りは厳重処罰。薬は厳禁。酒と煙草は程ほどに。
その他色々とあったけど、全てに正当性がありすぎて。
今時チームでこんなのもあるんだと初めて知った。
それに。
この『tutelary』というチームが、時折耳にする有名なチームだと分かった時。そして、男がそのチームを作った『総長』であるということに、実感がなくて。
その日俺は、『tutelary』に入ることに決めた。
退屈な日々が、変わっていく音がした、気がした。
「その金髪って地毛?」
「え、あ、はい…」
「かたいよ神楽くんよー」
「新入りなんだからそう絡むなよ、戸惑ってんだろ」
『tutelary』に入って少し。殆ど毎日顔を出すようになった(意外と近かった)その店には、カウンターの近くにある四人用の小さいテーブルに、決まって四人組のカラフルな髪色をした同じ歳くらいの奴らがいて(後々一個下だと知った)。
小6でチーム、いや、(まず小6に見えないが)その年でその髪色はどうなんだ、と思ったが、どうやら地毛らしくて。珍しい奴がいるもんだ。
来る度に、四人のうちのひとり、綺麗な赤毛の奴が声をかけてくるようになって、おちゃらけてるそいつを抑えるような突っ込みをいれる、妙に大人びてる綺麗な青髪の奴が一緒にいて。
あと、白髪と黒髪で赤青白のメッシュを入れた大人しい二人もいて。
四人が幼なじみと知った時、あっさり納得してしまった。
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