09
年明け過ぎも早いもので、一月四日。
千鳥手作りのお節は元日に三人で、二日に鍋パーティの時と同じメンバーを呼んでみんなで食べました。
なんかね、うますぎて太りそう。
去年の八月以降、びっくりするほど胃の調子が回復しているみたいで、今じゃ食事が人並み食べられる。
食べ放題だって行けちゃうぜ!
今年はどんな人達と関わるのかな。
チーム内の変化とかあるのかな。
今はもう、いや八月のあの日以降、死にたいなんて思わなくなってる。
残りの人生、面白おかしく過ごせるように、なんて思っちゃったりしてさ。
「いってきまーす」
「あぁ、気をつけろよ」
「いってらっしゃい!」
凍えるような寒さでも、やっぱり俺は冬が一番好きだな。
おしくらまんじゅうって楽しくね?布団に包まれるし。
マンションを出て、厚手のパーカーのポケットに手を突っ込んだまま歩く。
なんつーか、いってらっしゃいって言われるのっていいよね。
例え血が繋がってなくても、俺にとって千鳥と千世は家族だし。出来の良すぎるオニイサマと、出来の良すぎる大型犬。
ふ、と思い出して携帯を開いてメール画面にする。
宛先は、綺麗な赤毛の現役高校生。
今日は棗の誕生日だ。
誕生日を知ってる人には全員に送るようにしてる。
忘れそうな時は送信予約とかして。
俺の誕生日の時は凄かった。メールもそうだけど、電話も来たもんだから返せなかったりとかあったなぁ。
「そーしん、と」
携帯を閉じて、なぜか空を見上げた。
青い。風は冷たい。でもそれが心地好い。吐く息が白いからわざと出したりしながら、細く短い路地に入る。
……辞めるって、決心したくせにね。
思わず笑みが浮かぶ。
微笑むというよりは、自嘲のような。結局俺はこうして戻ってきてる。
それでも俺は、やっぱりここが好きだから。
こんな面白くて良い職場滅多にないよ。
常連さんだって増えたし。
時々諒くんも来るし。今冬休み中かな。まあ、そのうちまた遊びに来るだろ。
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