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08
 



 ───人ってどうして、こういう時だけ息を合わせるんだろう。




 年明けまでのカウントダウンは、大師でも大人数がいる為に盛大に行われた。

 大師の中で焔紀と合流して、四人でお賽銭の為の行列に並んでる最中にカウントダウンが始まって、あと三十秒らしい。
 参加する気はあんまりない。
 だってなんかもう人の声いらなくね?



「10!」



 重なる声。周りで叫ぶ声。
 時々前後で舌打ちする音。
 真横で無表情だった犬はカウントダウンの声に若干びっくりしてる。



「5!」



 年賀状は出した。
 現役高校生九人に焔紀に、蓮さんに千春先輩と朔也先輩と泉にも。
 予め住所教えてもらった人達に。



「3!」
「2!」
「1!」
「「あけましておめでとうございまーす!」」



 年明け直後の声はもう耳を塞いだ。
 そんくらいうっさい。いや覚悟はしてたよ、うん。



「千鳥、焔紀、千世、あけましておめでとう」
「今年もよろしくな」
「あけおめー」



 前の千鳥、後ろの焔紀、隣の千世にまとめてご挨拶。
 二人に頭撫でられて、俺は千世の頭を撫でるという変な光景になりましたがね。









 - カツンッ、チャリッ、



 カウントダウンから十分ほど経って、大きい賽銭箱の前にようやく来れて、賽銭を投げて手を合わせ、目を閉じる。



 ───ここ半年は濃厚だったなぁ。
 今年は少し落ち着いてくれるだろうか。

 のんびり平和に過ごせますように。
 退屈は嫌だけど。楽しいことは、自分から起こせるから。




 瞼を上げて左右を見れば、男前美形がイイ笑顔で俺を見てた。
 見られてた。



「…ちゃんとしたの?」
「したした」
「こいつの馬鹿が治りますようにって祈っといた」
「オイコラ」
「オレもおねがい事したよっ!」



 その場から離れながらの会話。
 千世が可愛いんですけど。
 そんで最近思うに、なんだか千鳥の辛辣さが増してる気がするんだ。



 


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