07 * 「でかい破魔矢買おうかー」 「なんでだよ」 「理由はそのまま厄除けの為」 「あ、そ…」 午後11時。 冬の寒さと暗さの中、俺ら以外人がいない道をマイペースに歩いている。 大師は然ほど遠くない。電車で二、三駅の場所にある。 だからゆっくりのんびり時々戯れながら、手を繋いだり腕組んだりして歩いているわけです。 夕ごはんはシチューでした。カレーが夏でシチューが冬なのは何故かなあ。 「家内安全のお守りでも買っとけよ」 「それ必要?」 「知らね」 適当過ぎませんかオニイサマ。 焔紀とは最寄り駅前で合流予定。 大師までの移動は車って手もあるんだけど、大晦日じゃスムーズにはいかなそうだから電車で行く事になりました。 深夜になろうという時間なのに、駅前はいつもより人が沢山。ごちゃごちゃと。 大晦日と三が日中は毎日コレだろうな。 あー、やだやだ。引きこもり安定。 駅前ロータリー、噴水前。 そこだけ妙に違和感。 そりゃそうだ。あんだけ視線集めてりゃ異様に見えるわ。 「あの馬鹿いっぺん死にかければいい」 「オーラが凄いね」 舌打ちしながら千鳥は携帯を取り出した。どうやら電話するようだ。 「おいハゲ。てめぇの注目度が高すぎてうぜぇから一人で行け」 『ハァ!?』 おおう。 電話越しの音声ここまで聞こえたよ。 「睦月はてめぇに近づきたくねぇとよ」 いや別に焔紀に近付きたくないわけじゃないんですが。人目がね。 なんて心中突っ込みをしてたら、千鳥はそれからすぐ携帯を閉じた。 切ったのか。本当に言ってすぐだったんだけど、もしかして返事聞かずに切ったのか。 「行くか」 「え、うん」 ぶっちゃけ千鳥もかなり視線集めてるけど、雰囲気が近寄りがたい感じだから、さっき遠目から見た焔紀よりは周りに人はいなかったりする。 千世も人混みのせいか素で無表情だしね。 焔紀も初詣に行く場所は知ってるだろうし、まぁ、いっか。 [*][#] [戻る] |