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05
 


「───…きもちわるい」
「だいじょうぶ?」
「……」



 大晦日のスーパー。
 人混み、人混み、ひとごみ。

 混み混みが苦手なせいで、カート押しながら吐き気がした。
 隣にいる千世は耳がピン、と立った幻すら見えたほど直ぐさま反応した。が、しかし、ちょい前を歩く千鳥は無言で振り返っただけ。


 千鳥が前歩いてくれると自然と道が開くものだから通りやすいのなんのって。
 だがしかし。その分、人混みなだけにそれなりの視線をがっつり集めちゃうわけで。
 隣にいる千世にも当たり前のように視線。カートを押してる俺も自然と視線を浴びてしまうわけで。



「……はぁ、」



 買い出しは順調なのに、気分が急降下中なんですけど。
 どーするよ……はーぁ。



「……iPod持ってくれば良かったか」



 ぽつりと独り言を吐き出して、千鳥の後ろをガラガラ音を立てながらついていく。
 カートの中はいっぱい。
 下の段に置いたカゴの中もいっぱい。



 …そーいや、店にっつか蓮さんに電話してないな。
 そろそろしなきゃヤバいかも。

 初詣行く前でいっかー…。
 なーんーかー、どうもやる気が出ない。これが人混みの威力か。なんつって。



「…これくらいか」
「おわり?」
「そうだな」
「よし。レージ、レージー」



 やばいテンションが変だよ。

 俺は二人からツッコミがない事に、若干ショックを受けてたりするんだけど。
 ツッコミなしって事は、俺の行動がいつもと全然変わらないって事じゃね!?
 無意識にやってたのか俺。







 混み混みなレジもクリアして袋詰めして、これまた混み混みな専用駐車場に停めてある車に向かう。
 荷物ほとんど千世が持ってますけど。
 千鳥ほぼ手ぶらですけど。



「はひー」
「はひー」



 荷物をトランクに入れて後部座席に乗り込んで溜息と共に吐き出せば、おうむ返しして同じ体勢になる犬。


 七割荷物持ってた千世なら言ってもおかしくないのに、おうむ返し。
 それはなぜか。ただ単に疲れてないからノリでやってるだけ。可愛いよね。


 


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あきゅろす。
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