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02
 


 見事にえぐられた左腕の数箇所が特に酷くて、はっきり跡は残る。
 見えづらい場所だから構わないんだけど、最新技術の治療で消せ、とか言われてたりするんだよね。

 結局お金出すの俺じゃないし、俺は残っててもいい。
 今までの傷も消えることを拒むわけじゃない。こんな事でわざわざ高い額を出してほしくないだけ。



「今日開校記念日なんだよん」
「それこの間も言ってたよ慧」
「あれ?そだっけー」



 うちのワンコは今、隣で眠ってる。
 周りの方々は華麗にスルーされてますが。
 ちゃんと俺の隣にいます。座った状態の俺の右手を握りながらも完全熟睡中です。



「お前らマジで帰れ」
「ちーちゃん冷たーい」
「その呼び方すんなっつってんだろうが」
「わざとだし」
「コロス」
「いやん」
「……はぁ…」



 苦労人だね千鳥。
 むやみやたらと慧に絡むと疲労が増すよ。
 まあ自業自得ということで、とりあえず俺は一つ主張したい事があるわけで。



「……さすがに最低一ヶ月安静は必要ないと思うんだけど、」
「ダメ」
「安静第一」
「却下」
「寝てなさい」
「なにいっちゃってんのー」
「なにいっちゃってんのー」
「バカかお前」



 とりあえず、双子と翔太郎の言葉に普通に傷付きました。
 ある意味全員一致で否定されたし。
 てゆか焔紀、それって安全第一じゃね?
語呂は悪くないけども。



「そんな言わなくても……。動けるし…」
「俺がたかだか二週間で納得するとでも?」
「オイ」



 千鳥が近距離で、しかも真顔で言った言葉に対して俺らって言わない事を焔紀が突っ込んだのはさておき。

 単純に俺は千鳥の発言にドキドキしました。



「店行きたいし…」
「あんなの待たせとけばいいだろうが」



 うわぁ…。
 あんなのって言ったよこの人。あの人達をあんなのって。
 けどなぜだろう、違和感がないなんて。
 しかも言い方が妖艶過ぎて鼻血出そうなんですけどオニイサマ。



 


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あきゅろす。
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