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 ───それからなんやかんやと時間は過ぎて。
 美味しい夕ご飯をご馳走になって、今はもう8時を回ってる。明日はちょっと用事があるから丁度良い。



「…それじゃあ、」
「おう。後ろに気をつけろよ」
「何それ」



 玄関前。

 焔紀はいつもと変わらない雰囲気で、頭を撫でる手も変わらない。
 腕が使えなくなったわけじゃないから、と楽観的に言われたものだからそれ以上とやかく言えないわけで。


 千鳥が先に出てろって言うから、千世と手を繋いで表に出て空を見上げた。



「……睦月?」
「なーに」



 静かな夜。冬が近い、冷たい風。

 年越しは室内か外かどっちだろ。
 また鍋囲みたいなあ。
 羞恥プレイは微妙だけど、楽しい事には変わりないわけだし。初詣は、千鳥と千世とで行こうかな。


 …クリスマスとか、あるし。
 サンタの格好してみるか。
 女物とか渡されそう。



「……」
「どうしたの?」



 そんな目で見るなよ。
 千世は多分、直感的に気付いてる。



「大丈夫だって」
「……」



 こくりと頷いたのを見て、笑う。

 大丈夫、だなんて。
 命の保証は出来るんだけどね、それだけだ。自分に言い聞かせてるみたいにも感じて来ちゃったよ、言い過ぎて。



 千鳥は焔紀と何を話してるんだろう。
 まぁ、必要ならその場に居させて聞かせてるだろうから、俺には関係ない事なのかもしれないし。


 そーいや、焔紀の店が無くなっちゃったからたまり場も無いわけだよな。
 どうすんだろ。
 家をたまり場にはしないと思うし、その事で話してんのかな。

 ん?
 そしたら別に俺が聞いても問題なさそうなんだけど。他の話もあるからか。

 …ま、いいか。聞かなくても。



 ぼんやりと前を見てたら、繋いだ手に力が増した。


 不安なんだろう。
 これからどうなるのか、俺がどうするのか、そんな事いくら千世でも分からない。
 分かったとしても止めないから。
 俺が千世に言わない限り。千世は俺の言うことしか聞かないから、俺のやる事を否定出来ない。


 そんなポジション与えといて、今更こんな事思ってる俺も俺だけど。


 


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あきゅろす。
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