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09
 



 後ろから抱きしめられる形で、千鳥の脚の間から再スタート。
 真ん中に置かれたコップから順番なんて知らねぇみたいな感じで好き勝手に引いていく。



「だーれだ」



 楽しそうな、ホンットに楽しそうに慧は言って、全員が番号を見る。



「はーい」



 手を挙げたのは、棗さんでした。



「どーしよっかなぁ」



 ふらふらと割り箸を振り子にしながら、だけど視線は何故か俺の手。
 否、隠れた部分の割り箸。

 つうかお前彼氏持ちだろ。
 彼氏の透視しやがれコラ。



「それはそれ」
「え、口に出てた?」
「顔に書いてある」
「うっそ」
「うっそーん。…一番、膝貸して」



 その瞬間、ばっと割り箸の数字を確認した。



「……あれ?」



 三番だ。
 じゃあ誰だ、と思って顔を上げれば。

 クスクス笑う棗と、苦々しい顔をした八雲が見えた。……なんで俺の手みたの。



「王様命令には逆らっちゃいけないんだから、ほら、堪忍せい」



 お前なにキャラ。



「………はぁ」



 深々と溜息を吐いた八雲は、胡座だったらしく座り直して正座した。
 胡座でも良いと思うんだけど。



「やっぱひざ枕は正座だよね」
「……後で覚えてろよ」
「えー?何の話?」



 照れ屋さんっ、なんて頬っぺた突いた棗。



「いつもやってくれんじゃーん」
「死ねばいい」
「やってるんだ」
「真に受けるなソコ」



 睨まれた。
 だって八雲の顔がちょっと赤いから、珍しいモン見たなと思ってつい。
 可愛い所あるな。



「よーし、次ー」



 慧の声でコップに割り箸を戻して行ってコップを持った双子の片割れ、帝がカラカラと混ぜてく。



「いつまで続くんだ?」
「俺が王様になるまでー」



 面倒そうな焔紀の言葉に、こちらを見ずに大人のジュースを飲む慧が答えた。

 なにそのゴール。

 お前の時なんかあんのか。
 さっきの耳打ちの内容が更に気になるんだけど。

 だがしかし、それは早くも知ることになる。



「はい引いてちょ」



 混ぜ終えた帝が、真ん中にコップを置いた。各自が引いていく。

 隠しながら番号を確認して、顔を上げた。



「───っし、キタァァ!!」



 瞬間に声を上げたのは慧だった。


 


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