07
───どうしてこうなった…?
俺は断じて酔ってない。断じて。
酔ってないはずだ。むしろ酔ってんのはアイツらだろ。
あぁ、あの笑顔を阿呆みたいに普通に可愛いとか思ってた数十分前の俺にバカヤロウと言いたい。切実に。
俺は今、閉ざされた扉の前でそう思った。
事の始まりは、数十分前。
クソ真面目な顔で話し込む慧達を見て、何の話してんだろーとか、本当なにげ仲良しだよねぇなんて思いながら甘い大人のジュースを飲んでいた。
良い感じに暑い。酔ってないんだけど、気分は良い。
遠慮なしに後ろに居る焔紀に寄り掛かりながら千世の顔を突いたりデコピンしたりして弄ってたら、ふいに周りが静かになった事に気付いた。
気になって反対側に首を回せば。
「…ぉう?」
目の前に、さっきまでクソ真面目そうな顔で会話してた慧が目の前にいて。
「むっちゃん、遊ぼうぜ」
「うん?」
にっかり、と子供みたいに笑って慧は言った。
「遊ぶって、何して?」
持っていた缶を置いて、慧を見る。
何だか背後の空気が重い気がしなくもないけど、とりあえずスルーで。
「王様ゲーム」
「………は?」
まさか慧の口からそれが出てくるとは。
王様ゲームって、合コンとかの必須ゲームっしょ?
なんでこの面子で?色々と怖いんだけど。
「このメンバーで、やろ?」
こて、と首を傾げた慧の姿はもはや悩殺モノだ。やばい。
「なんでそんな面倒くせぇ事すんだよ」
背後にいた焔紀が心底嫌そうな声で言うと、慧はクスクスと不敵に笑った。
不敵に…?
「俺らを誰だと思ってんの?えっちゃん、」
なんて言いながら、慧が膝立ちのまま焔紀の横に行って何故か耳打ち。
その声は小さくてまったく聞き取れなくて、疑問を抱きながら見てたら。
次の瞬間、焔紀の目の色がギラリと変化した。
「どーする?」
「………」
離れた慧が、笑顔のまま問う。
焔紀は無言。なんで。
んで、顎を引いて俺を見た。なんで。めちゃくちゃ気になるんだけど…!
「……そうだな」
焔紀はそう言って、にやりと笑った。
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