06
「こんな大勢で鍋とか久々ー」
カクテル系の酒缶片手に、慧がへらりと笑って。
いまだしかめ面の神威が溜息。
「面子が嫌だ。つうかお前が嫌だ」
「お前もしつこいな神威。諦めろ」
そーだよ、うん。八雲の言う通り。
「たのしーのに」
「たのしーのに」
「ど、こ、が」
「…じゃあ来なきゃいいのに」
「ぶっ」
「ぅおっ!ちょ、吹くな!」
「ごみーん」
見てるこっちは楽しいけどね。
ある意味孤立してる焔紀を見るのも。
始まって1時間くらい。
今や最初に座っていた位置に同じ人はいない。見事に席替えみたいな事になって。
俺はというと。
「何食いたい?」
「んん…豆腐!」
焔紀の脚の間にいました。
鍋が近い、確か棗辺りが座ってた場所にいたりする。
ちなみにその向かい側に千鳥がいたりする。
ちょー不機嫌。
「俺の豆腐あげるよー」
「む?」
いつの間にか隣に来てたらしい慧が、スプーンに豆腐を乗せて突き出してきた。
気分的にただ豆腐が食べたかっただけで、考える間もなく口を開けて。
「あーん」
「あー、む、ふぉっあふっ」
「取り出したばっかりだから熱いよー」
さ、き、に、言、え…!
湯気出てなかったから冷めてんのかと思ってた俺の油断のせいで余計熱いわ!!
「…てめぇ」
「きゃー!睨まれたー!」
わちゃわちゃしてる俺の背後で焔紀が慧を睨んだらしく。
てゆか慧、酔ってんの?
「大丈夫か?」
「はいほふ」
「だいじょぶ」
ご丁寧にも千世が訳してくれまして。
隣にいるからね。
仲が良いのか悪いのか、慧達と八雲達は固まって喋ってる。
何だかんだ息合っちゃうくせに。
半分口喧嘩だけど。酒片手に。
本当に未成年?サバ読んでない?
俺にはあの集団が未成年に見えないんだけど。
いまさらだけど俺以外全員かなりの美形なせいで、酒の席なのに汚く見えない。
何だろう。何だろうコレ。
慣れって怖いね。
「睦月、みず」
「ありがとーう」
千世から水の入ったコップを受け取り、飲みながら集団の方を見れば、何故か真剣な面持ちで話込んでいた。
社と翔太郎除いて。
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