04
「───お二人さん、イチャつくんなら終わってからにしてくんねぇ?」
聞き覚えのある声に、閉じかけた目を見開いて顔を離した。
目の前には、若干殺気が混じる不機嫌な千鳥。
ドアの方を見れば、腕を組んで寄り掛かる怖面の美男が。
「……いつ来たの、翔太郎」
「フルで呼ぶな。……今さっきだ」
それを聞くや、リビングが騒がしい事に気づく。
「勝手に入ってくんじゃねぇよ」
「そいつのワンコロが入れてくれたんで」
ちょ、指さすな。
不機嫌マックスな千鳥の声はもう重低音。邪魔しやがって、的な。
千世かー。
邪魔されればいいと思って教えたな。めんどくない無難な翔太郎に。
「……チッ」
翔太郎がリビングの方に行ってから、千鳥が舌打ちして立ち上がる。俺はさっさと降りました。
「また後でな」
「……っ!」
動く前に千鳥に耳を舐められて、変な声出そうになった。
ヤメテクダサイ。
「近所迷惑だ」
「まあまあ」
近所迷惑だって言ってもここの階一部屋じゃん!下に響く心配もないし!
音と衝撃を吸収する分厚ーい壁で出来てるらしいから。左右上下。凄いよね。
騒がしいリビングのドアを開けたら、呼び出した人全員揃ってました。
「おせーよ。…睦月、こっち来い」
「むっちゃーん!久々の再会ちゅーしよーっ!」
「うるさいんですけど」
「俺らの間に来てもいーよー」
「俺らの間に来てもいーよー」
「なんでコイツら呼んだんだよ!」
「……予想してたじゃん」
「愛しい社が居るんだから我慢しなよー」
「睦月、人選ミスじゃないか?」
濃いな。
上から、焔紀、慧、誠、双子、神威、社、棗、八雲。
とりあえず、八雲が一番まともな事言った気がする。
翔太郎は無言で呆れてるし、千世は思いっきり拗ねてる。キスしてたの言ったのか翔太郎よ。
「てゆか一緒に来たの?」
各自自由に座る中、キッチンに向かいながら聞く。
言わずとも千世がついて来て抱き着いて。
「んなわけねぇじゃん。なんでコイツらと一緒に来なきゃいけねーの」
「ひっどーい!仲良しこよししよーよ」
「ざけんな!」
「下でばったり会ったんですよ」
「そーなんだ」
慧と言い合いは成り立たない気がするよ、神威。
見兼ねた誠が教えてくれた。
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